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ワンポイントゼミ 直交行列と1次変換 [線形代数の基礎]

ワンポイントゼミ 直交行列と1次変換

 

問題 行列choku-001.pngによる1次変換を考える。は任意の列ベクトルとし、列ベクトルとする。いまの絶対値が等しくなる行列Aの集合をMとする。

このとき、次の問に答えよ。

(1) A∈Mとなるための必要十分な条件をabcdを用いて表わせ。

(2) A∈Mならばの内積の内積が等しいことを示せ。

(3)  A∈Mのとき、逆行列を求めよ。

【解】

(1) とすると、

  

より、任意のx₁x₂に対して

  

が成立しないといけないので、

  

でなければならない。

逆に、ならば

 

(2) とすると、

  

 

(3)

  

したがって、

  

(解答終)

 

この条件は、1次変換を表す行列の列ベクトルが単位ベクトルで、互いに直交していることを示している。このような行列を直交行列といい、直交行列で表される1次変換は、線分の長さや角の大きさを変えない合同変換で、これを直交変換という。

 

、さらに、とすると、の内積

  choku-004.png

と表すことができる。

したがって、

  

としたとき、の内積は

  choku-005.png

となる。

したがって、

  choku-000.png

となる、

だとすると、

  choku-006.png

ここで、Eは単位行列である。

任意のベクトルについて(3)が成り立つためには、

  

でなければならない。

逆に、(4)が成立するとき、

(1)より、

  

となる。

以上のことから、

  

であることがわかる。

 

choku-001.pngとすると、

  

つまり、Aが直交行列であることとは同値であることが分かる。

また、このことから、

  

であること、であることから、

  

である。

これらは、2次の正方行列に限らず、n次の正方行列に関しても成り立つ性質である。

 

特に、Aが2次の正方行列であるとき、A

  choku-008.png

のいずれの形で表すことができる。

choku-009.pngは原点を中心にθ回転させる1次変換を表す行列であり、choku-010.pngは原点を通る直線に関しての折り返しを表す行列である。

 

 


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