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複素関数の微分の補充問題 [複素解析]

複素関数の微分の補充問題

 

f(z)は領域Dで定義されているとする。zD内の点z₀に近づくとき、

  

が近づき方に無関係に一つの有限値に近づくならば、この極限値をf(z)z₀における微分係数といい、であらわす。また、このとき、f(z)z₀微分可能という。

すなわち、

  fb-001.png

領域Dの全ての点でf(z)が微分可能であるとき、f(z)D正則であるという。w=f(z)Dで正則であるとき、

Dの各点zf'(z)を対応させることにより、Dで定義された関数f'(z)が定まる。この関数を導関数といい、

  fb-002.png

 

例 のとき

  fb-003.png

nが正の整数で、のとき、

  fb-004.png

したがって、

  

 

問題1 次の関数はz=0で微分可能か。

【解】

z=x+iyとする。

(1) で、z≠0とすると、

  

直線y=mxにそってzが原点に近づけると、

  fb-005.png

この極限は直線の傾きmによって変わるのでz=0で微分可能ではない。

 

(2) f(z)=Re(z)=xとおき、z≠0とすると、

  

y=mxにそって原点に近づけると、

  fb-006.png

したがって、z=0で微分可能ではない。

(解答終)

 

定理(コーシー・リーマンの関係式)

z₀=x₀+iy₀で微分可能であるための条件は、uvがともに(x₀,y₀)で全微分可能で、

  fb-007.png

このとき、

  fb-008.png

 

問題2 次の関数の微分可能性を調べよ。

  

【解】

  だから、u=x²+y²v=0


u,yの偏導関数は連続だから、すべての(x,y)で全微分可能。また、(x,y)=(0,0)のとき

  

だから、f(z)z=0で微分可能。

(x,y)≠(0,0)では、

  

なので、f(z)z≠0で微分可能でない。

(解答終)

 

問 コーシー・リーマンの関係式を用いて、問題1の関数の微分可能性を調べよ。

 

 

問題3 指数関数

  

の導関数がであることを示せ。

【解】

  fb-009.png

したがって、

  

よって、

  fb-010.png

したがって、uvの偏導関数は(x,y)の全点で連続で全微分可能。

また、

  fb-011.png

となりコーシー・リーマンの関係を満たす。

したがって、zの全点で微分可能(正則)である。

  

(解答終)

 

 

問題4 関数f(z)が領域Dで正則で、次の条件のいずれかを見たぜばf(z)Dで定数であることを示せ。

【解】

とする。

(ⅰ)

  fb-013.png

よって、uvDで定数。したがって、f(z)Dで定数である。

 

(ⅱ) だから。 コーシー・リーマンの関係よりとなり、f(z)Dで定数である。

 

(ⅲ)

  fb-014.png

したがって、

  fb-015.png

コーシー・リーマンの関係より

  fb-016.png

したがって、

  

u²+v²=0のとき、u=v=0

のときだから、コーシー・リーマンの関係より

いずれの場合も、uvは定数となり、したがって、f(z)Dで定数である。

(解答終)

 


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