リプシッツ連続に関係がありそうな問題 [微分]
リプシッツ連続に関係がありそうな問題
リプシッツ連続
関数f(x)は区間Iで定義されているとする。このとき、任意のx₁、x₂∈Iに対して、ある実定数K≧0が存在して、
であるとき、f(x)はIでリプシッツ連続という。
リプシッツ連続に関係のありそうな問題を紹介する。
問題1 αを方程式x=f(x)の解とする。関数f(x)が微分可能で、0<|f'(x)|<1であるとき、x₂=f(x₁) (x₁≠α)は、x₁よりも方程式x=f(x)のいい近似解であることを証明せよ。
【解】
平均値の定理より、
であり、
だから、
(解答終)
問題1の条件では、x=f(x)の解はただ一つである。意欲のあるヒトはこの証明にチャレンジするとよい。
問題1とは、すこし条件が違うけれど、たとえば、という方程式があるとする。
とすると、f(x)は微分可能で、
αを方程式x=f(x)の解とすると、
となり、
と逐次計算することによって、αという収束解を得ることができる。
x₁=0とし、10回ほど反復計算すると、x=0.450184という近似解が得られる。
この計算に使用したC言語のプログラムと計算結果を参考までに紹介することにする。
#include <stdio.h>
#include <math.h>
double f(double x) {
return 0.5*cos(x);
}
main() {
double x1, x2;
int i, n = 10;
x1=0.;
printf("n x1 x2\n");
for (i = 1; i <=n; i++) {
x2 = f(x1);
printf("%d %f %f\n", i , x1, x2);
x1=x2; //計算結果の更新
}
printf("x=%f\n", x2);
}
計算結果
n x1 x2
1 0.000000 0.500000
2 0.500000 0.438791
3 0.438791 0.452633
4 0.452633 0.449649
5 0.449649 0.450300
6 0.450300 0.450158
7 0.450158 0.450189
8 0.450189 0.450182
9 0.450182 0.450184
10 0.450184 0.450184
x=0.450184
問題2 f(x)は微分可能な関数で、任意の実数x,yについて次の関係式を満たしている。
このとき、f(x)を求めよ。
【解】
x≠yとする。
とおくと、
yを固定し、x→yのときのF(x)の極限を求めると、ハサミ打ちの定理より
よって、F'(x)は定数。この定数をCとおくと、
(解答終)
⑨から一気に⑨³を結論してもいいと思うけれど、また、f(x)は微分可能な関数という条件もいらないと思うけれど、念の為に、問題にはつけておいた。
問題3 関数f(x)とその導関数f'(x)は、任意の実数x₁、x₂に対して、次の関係を満たしている。
(1) このとき、
(2) f(x)は1次式で表されるかまたは定数である。
【解】
(1)
任意の実数x₁、x₂に対して問題の不等式は成り立つので、問題の条件の不等式のx₁、x₂を入れ替え
よって、
x₁≠x₂のとき、(A)式の両辺を|x₁–x₂|≠0で割り
x₁=x₂のとき
よって、証明された。
(2) x₁≠x₂とする。
任意のx₂に対してf''(x₂)=0だから、f(x)は一次式で表されるか定数である。
(解答終了)
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