前回の「微分の問題をふくらませて・・・」の話に続き [微分]
前回の話の続き!!
前回、関数f''(x)が点aの近傍(a–r,a+r)(r>0) でC²級であれば、
であるということを示した。
では、
と、f(x)の2次微分係数f''(a)を(1)式の右辺で近似したときの誤差はどの程度だろうか?
fが級であるとき、O形式のテーラーの定理は
である。
n=2とすると、
になる。
これを(1)式に代入すると、
だから、(1)の近似式の誤差はh程度と予測できる。
だが、近似式(1)の誤差h程度ではない。このことは、、a=1とし、h=0.1、h=0.01の場合で計算すると、このことはすぐに確かめられる。
実際、h=0.1のときの誤差は0.00226599、h=0.01のときの誤差は0.000022652で約1/100になっている。つまり、hを1/10にすると、誤差は約1/100になっており、誤差はh²に比例していることになる。つまり、(1)式の近似式の誤差はO(h²)である。
なぜ、このようなことが起きたかというと、n=3としてf(a+h)をテーラー展開すると、この理由がわかる。
奇数次の項の符号がf(a+h)とf(a–h )では正負が異っており、f(a+h)とf(a–h )を足し合わせると、奇数次の項が消えてしまうのだ。だから、誤差はO(h)ではなく、O(h²)になってしまう。実際、これを(1)式の右辺に代入すると、
となることからも確かめられる。
矛盾しているといえば矛盾していないし、矛盾していないといえば矛盾していないような気がする(^^ゞ
実は、これと同じような奇妙なことが次の極限を求めるときに発生する。
(2)、(3)式から、x→0のとき、sinxは、xと同位の無限小でO(x)で、かつ、O(x³)であるということになる。ランダウの記号、関数の無限小の定義からそうなると言われればそれまでなのだが、考えてみれば、これも奇妙な話のように思えてならない。どうやら、微分積分や解析学、そして、数値計算などでよく使用されるランダウの記号は正体不明の、かなり胡散臭いシロモノ、バケモノなのかもしれない。
何しろ、ランダウ記号(ビッグ・オーO)の計算規則は、
で、普通の算法は通用しないのだから。
したがって、これを使うときには細心の注意が必要に違いない。
さて、ランダウ記号の計算規則⑨が成立する例として、
としたときの誤差を調べてみることにする。
だから、
になるはずである。
、a=1として、hを変化させて、絶対誤差
を計算してみると、次のグラフのような結果になる(赤線)。
比較参照のために、
を用いて、f''(a)+f'(a)を計算した値もグラフ中に示してある(緑線)。
グラフの縦軸には近似値との誤差の絶対値を、横軸にはhをとり、対数グラフで計算結果を示してある。
赤の直線(?)の勾配が約1で誤差がh程度、緑の直線の勾配が約2でh²程度であることから、近似式⑨³の誤差がO(h)であること、そして、計算規則⑨の妥当性が確かめられると思う。
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