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第10回 広義2重積分 [重積分]

第10回 広義2重積分



近似増加列
近似増加列の定義

次を満たす面積確定の有界閉集合の列Dの近似増加列という。


(1)
(2)Dに含まれる任意の有界閉集合Kに対してとなる自然数nが存在する。


たとえば、

  

とし、

  

とすれば、(1)と(2)の条件を満たすので近似増加列になっている。



さらに、用語の説明を続ける。


正値関数とその広義積分

関数f(x,y)D上でf(x,y)≧0を満たすとき、f(x,y)D上で正値関数という。−f(x,y)が正値関数であるとき、f(x,y)を負値関数といい、この2つを合せて定符号関数という。

f(x,y)D上で連続な正値関数、D上の任意の近似増加列とする。
このとき、
  
が上に有界だとすると、これはnに関して単調増加なので収束する。

そこで、

  

f(x,y)D上における広義2重積分という。この極限が存在するときに広義積分は収束するといい、収束しないとき発散するという。

正確に言うと、上の定義は正値関数の2重積分だけれど。


で、収束するのはいいけれど、この極限値が近似増加列のとり方によって変わってもらっては困る。①が意味をもつのは、極限値が近似増加列のとり方によらない必要がある。


定理
f(x,y)D上の正値関数とする。このとき、D上の増加近似列に対して

  

である。


この定理によって、正値関数の広義積分の一意性が保証される。


ということで、早速、問題を解いてみるにゃ。

問題1

  

【解】

これだとピンとこないかもしれない。

  

ということです。

D上でだから正値関数。そして、次のような増加近似列を考える。

そうすると、

となり、n→∞とすれば、1になる。よって、

となる。


そして、超有名な次の積分をやる。


問題2

  

【解】

この積分は

  

のこと。

D上でだケロ。

で、次のような近似増加列を作る。

  

x=rcosθy=rsinθで極座標変換すると、これは次のようになる。

  

そうすると、

  
になる。

よって、

  eq1101.png

になる。


それでだ、

  eq1102.png

だから、

  eq1103.png

さらに、は偶関数なので、

  eq1104.png

となる。

物理や統計によく出てくる積分だケロ。



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