第6回 少しだけ一次変換 [重積分]
第6回 少しだけ一次変換
1次変換
x'=ax+by、y'=cd+dy・・・①によって、点P(x,y)と点P'(x',y')との関係を定めると、平面座標上の点の集合R×RからR×Rへの写像が与えられる。このような写像を1次変換といい、①を変換式という。これを行列であらわすと
となる。
行列
によって定まるから、行列Aは1次変換をあらわす行列といい、簡単に1次変換Aということがある。
で、
とおき、基本ベクトル
のAによる像を求めると、
となる。
で、行列式det(A)=ad–bc≠0のときaとbは平行ではなく、この2つのベクトルaとbで作られる平行四辺形の面積は
となる。
Aで1次変換すると、その像の面積は|ad–bc|倍になるんだケロ。
じゃあ、行列式が0の時はどうなるか。
の場合を調べてみるにゃ。
となるので、
となって、平面上の点はすべて原点Oと点(1,2)を結ぶ直線上に存在することになる。
零行列の時は像はすべて原点だにゃ。
だから、行列式の値が0のとき、全平面は原点を通る直線、または平面上の原点にうつされると予想できるにゃ。
これで終わるのもなんなので、ついでにもう少し1次変換に関する話をするにゃ。
問題1
1次変換
によって、直線l上の点は、すべてこの直線上にうつされた。この直線の方程式を求めよ。
【解】
自分自身にうつされる直線のことを不動直線というにゃ。
直線の方程式をy=mx+n、この直線上の点を(t,mt+n)とする。
この点((1–2m)t–2n,−3t)
は直線l:y=mx+n上にあるので、
これはすべてのtについて成立するので、
②式より
で、1–2m≠0だから、③式の両辺を1–2mでわると、n=0
よって、
ここで終わっちゃ〜いけないにゃ。
x=c(cは定数)も直線だからね。ということで、この直線上の点を(c,s)とすると、
にうつされるけれど、これではy=−3cになってしまうので、不適。
だから、y=3x/2とy=−xが答。問題2
零ベクトルでないが1次変換によってに平行なベクトルにうつされるとき、はどのようなベクトルか。
【解】
に平行なベクトルとはとあらわすことができる。
ということで
で、左辺の行列式の値が0でないとx=0、y=0が解になってしまうので、行列式の値は0ではない。
この2次方程式をとくとk=2、5となる。
ということで、
k=2のときは④より
よりx+y=0となり、y=−x。
k=5のときはになるので、x–2y=0となり、x=2yになる。
ということで、求めるベクトルはとなる。xとyのままだとなにかと誤解されやすいので、それぞれs、tにすると、
ここで、sとtは任意の定数。
このkのことをAの固有値といい、そして、こういうベクトルのことをAの固有ベクトルという。
コメント 0