第3回 一般の集合上の2重積分 [重積分]
第3回 一般の集合上の2重積分
第1回、第2回で取り上げた2重積分は、有界な長方形領域の2重積分。今回は、より一般の集合上の2重積分を定義し、これを計算できるようにしようというお話です。
定義3(2重積分の定義)
Dをの有界な部分集合とし、f(x,y)をD上の有界な関数とする。このときD⊂Kとなる閉区間Kを1つとり、K上の関数f*(x,y)を次のように定義する。
f*(x,y)がK上で重積分可能なとき、f(x,y)はD上で重積分可能であるといい、その積分の値を
と定義する。
定義4(面積の定義)
定数関数1がの有界な部分集合Dで重積分可能であるとき、Dは面積確定であるといい、その面積|D|を
で定義する。
定理4(面積確定の必要十分条件)の部分集合Dが面積確定である必要十分条件は、Dの境界∂Dの面積が0であることである。
定理4は天下り的に受け入れてほしいニャ。
このように定義すると第1回でやった定理1、定理2は次のように拡張できる。
定理5(重積分の性質)f(x,y)、g(x,y)をD上で積分可能な関数とする。このとき、
(a) cf(x,y)、f(x,y)+g(x,y)もD上で積分可能であり
(b)f(x,y)≧g(x,y)ならば
(c)
定理6(連続関数の可積分性)
関数f(x,y)が領域D上で連続であれば、f(x,y)は積分可能である。
そして、更に縦線集合なるものを定義する。
定義5(縦線集合)
の有界な部分集合Dが閉区間[a,b]上の連続関数を用いて
とあらわされるとき、Dを縦線集合という。
また、閉区間[c,d]上で連続な関数を用いて
とあらあされるとき、Dを横線集合という。
こんな定義よりも下の図を見たもらったほうがわかりやすいと思うにゃ。
と定義したところで、いよいよ、本題。
定理6(縦線集合上の2重積分の累次化)
関数f(x,y)はの積分領域Dで連続とする。
(1)Dが縦線集合
であれば
である。
(2)Dが横線集合
であれば
である。
定理6の証明はそのうち与えることにして、今は先を急ごう。
問題D={(x,y)|0≦x≦1,0≦y≦x}であるとき
を求めよ。
【解】
わかると思うけれど、念のために
となる。
なのだけれど、これは見方を変えると、次のように横線集合と考えることができる。
だから、次のように計算することもできる。
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