正項級数
全ての項である級数を正項級数という。
とおくと、数列は単調増加なので、は収束するか、+∞に発散するかのいずれかである。
したがって、次の定理が成り立つ。
定理5
正項級数が収束するための必要十分条件は、ある実数M>0が存在し、任意の自然数nに対して、
が成り立つことである。
【証明】
は正項級数なので任意の自然数nに対して。
したがって、とおくと、は単調増加数列。
よって、が上に有界ならば収束し、上に有界でなければ発散する。
(証明終)
例
任意の自然数nについて
が成り立つので、定理5より正項級数は収束する。
問1 数学的帰納法を用いて、次の不等式を証明せよ。
定理6 (比較判定法)
正項級数において、任意の自然数nに対してであるとする。
このとき、
(ⅰ) が収束すれば、も収束する。
(ⅱ) が発散すれば、も発散する。
【証明】
とするとであるから、は単調増加数列で、が成り立つ。
よって、ならば、となり、は上に有界な単調増加数列となり収束する。
また、ならば、だから、と発散する。
(証明終)
問2 次の級数の収束を判定せよ。
【解】
(1) k≧2のとき、
したがって、
と収束するのでは収束し、も収束する。
(2) 任意の自然数nに対して
かつ、は収束するので、も収束する。
(3) 任意の自然数nに対して
であり、と発散するので、は発散する。
(4) 任意の自然数nに対して
は発散するので、は発散する。
(解答終)
なお、上の解答では、と発散することを利用している。