数列の極限その2


 


 


§2 部分列


 


φからへの狭義単調増加関数(n₁<n₂ならばφ(n₁)<φ(n₂))とする。数列が与えられたとき、数列を数列部分列という。


 


定理8 (部分列の収束)


収束する数列の部分列の極限値に収束する。


すなわち、


  


【証明】


数列の極限値をαとすると、任意の正数εに対して、ある自然数Nがあって、


  


である。


φ(n)≧nなので、


  


よって、収束する数列の部分列の極限値に収束する。


(証明終)


 


定理9 (Boltano-Weiestrassの定理)


有界な数列は、収束する部分列をもつ。


【証明】


数列は有界とすると、ある実数m₁M₁が存在し、


  


である。


ここで、


  


とおくと、閉区間[m₁,c₁][c₁,M₁]を作ると、少なくともどちらか一方に無数のが存在する。


もし、[m₁,c₁]に無数のが存在すれば、


  


そうでないとき、


  


と置く。


以下、同様な操作をし、


  


とすると、を構成する。


すると、


  


であるから、


  


したがって、とおくと、カントールの区間縮小法(定理7)を満たしており、ある実数cが存在し、


  


各区間には無数のの項が含まれていたから、自然数を項とする狭義単調増加数列を、各自然数kに対して


  


となるように選ぶことができる。


このとき、


  


であるから、ハサミ打ちの定理より


  


(証明終)


 


 


§3 コーシー列


 


数列が任意の正数εに対して、ある自然数Nが存在し、n≧Nm≧Nを満たす任意の自然数mnに対して


  


が成り立つとき、コーシー列であるという。


 


定理10 (コーシー列の有界性)


コーシー列は有界である。


【証明】


数列はコーシー列であるとする。ε=1とすれば、ある自然数Nが存在し、


  


となる。


m=Nとすると、


  


となるから、


  


そこで、


  


とおけば、任意の自然数nに対して、


  


よって、数列は有界である。


(証明終)


 


定理11 (コーシーの収束条件)


数列が収束するための必要十分条件は、コーシー列であることである。


【証明】


数列が実数αに収束するとする。


任意の正数εに対して、ある自然数Nがあって、


  


が成り立つ。


したがって、m≧Nn≧Nならば、


  


となり、はコーシー列である。


逆に、がコーシー列であるとする。


数列は、コーシー列なので有界だからBoltzano-Weirstrassの定理より、収束する部分列をもつ。


ε>0を任意の正数とする。はコーシー列なので、ある自然数N₁が存在して、


  


が成立する。


また、ある自然数Kが存在して、


  


が成り立つ。


ここで、自然数k₀k₀≧Kかつを満たすように1つに固定し、N=N₁とおけば、


  


よって、αに収束する。


(証明終)