第47回 定積分の近似計算 その1


 


 


§1 矩形公式


f(x)[a,b]で連続とするとき、定積分


  


または


  


と近似する方法を矩形法、または、矩形公式と呼ぶ。


f(x)[a,b]級であるとき、定積分を(1)、(2)で近似した誤差は、次式で与えられる。


  


【証明】


部分積分と、x−a≧0b−x≧0なので、定積分の第1平均値の定理より


  


したがって、


  


(証明終)


 


定積分の近似値を求めるとき、矩形公式がそのまま用いられることはなく、


  


とし、閉区間[a,b]と小区間に分割し、小区間に矩形公式(1)、(2)を用いた、次の複号矩形公式が用いられる。


  


特に、[a,b]n個の小区間に等分割した場合、すなわち、


  


のとき、(3)、(4)式は次のようになる。


  


 問 [0,1]を4等分し、(複号)矩形を用いての近似値を求めよ。


【解】


  


したがって、


  


 






(解答終)


 


(参考)


  


 


なお、複号矩形公式の誤差は、


  


とおくと、


  


で与えられる。


 


【証明】


  


ここで、


  


とおくと、


  


(証明終)


 


誤差の評価式は、[a,b]n等分とするとき、


  


となるので、分割数を10倍にすれば(複号)矩形公式の誤差は約1/10になる。


 


右の図は、を(複号)矩形公式を用いて(近似)計算した結果を縦軸に誤差、横軸に分割数をとり示したものである。


分割数を10倍にすると、誤差が1/10になっていることがわかる。


 


 


§2 台形公式


 


f(x)[a,b]で連続とするとき、定積分


  


と近似する方法を台形則、台形公式という。


 


で近似したときの誤差は次式で与えられる。


  


【証明】




に対して部分積分を用いると、


  


また、x∈[a,b]において、(b−x)(x−a)≧0なので、積分の第一平均値の定理より


  


これを代入すると、


  


(証明終)


 


閉区間[a,b]n等分し、


  


とおき、各区間に台形公式を適用すると、


  


となるので、


  


f(x)[a,b]級であるとき、複合台形公式の誤差は


  


と置いたとき


  


で与えられる。


したがって、[a,b]n等分すると、


  


となるので、分割数nを10倍にすると、台形公式の誤差はおよそ1/10²になる。


 


右の図は、台形公式を用いて


  


を(近似)計算した結果を、横軸に分割数、縦軸に誤差をとり表したものである。


分割数を10倍にすると、誤差が約1/100になっていることがわかる。


 


 


 


また、複号台形公式と複号矩形公式の間には


  


という関係が成立する。


 


問 [0,1]を4等分し、台形公式を用いて の近似値を求めよ。


【解】


  


したがって、


  


(解答終)


 


【別解】


§1の問より、


  


だから、


  


(別解終)