第27回 ニュートン法
√a (a≠0)の近似値を求める方法について考える。
x=√aは
の解の1つである。
x₁を√aに十分近い値とし、√a−x₁=h、すなわち、√a=x₁+hとおけば、テーラーの定理から
|h|が十分小さいので、h²の項を無視すれば、
したがって、次の近似式を得ることができる。
そこで、y=0とすると、
図形的に言うと、曲線y=f(x)の(x₁,f(x₁))における接線とx軸との交点のx座標をf(x)=0の解に近似したものと考えることができる。
f(x)=x²−a、f'(x)=2xなので、
となる。
さて、
とおくと、相加平均≧相乗平均より
また、√a<x₁とすると、
であるから、
とおいたとき、
となり、x₂はx₁よりも√aに近い値。
さらに、
とおけば、
と、繰り返し計算すればするほど
このようにして得られた数列
(2)式より
(2)式を用いて、√10の近似値を求めることにする。
x₁>√10を満たすように、x₁=4とすると、
√10≒3.1623なので、3、4回計算すると、この値に到達してしまう。
このように、
とし、方程式f(x)=0の近似解を求める方法をニュートン法という。
問 f(x)=x³−aとして、
【解】
だから、
a=4、x₁=2とすると、
(解答終)
定理 (ニュートン法)
関数f(x)は[a,b]で2回微分可能で、f(a)=0、f'(a)≧0、かつ、開区間(a,b)でf''(x)>0であるとする。このとき、数列
で定めると、
【証明】
仮定よりa<x<bでf''(x)>0であるから、f'(x)は[a,b]で狭義単調増加であり、f'(a)≧0より、
したがって、f(x)は[a,b]で狭義単調増加なので、
次に、
であることを数学的帰納法を用いて示す。
(ⅰ) n=1のとき、x₁=bなので、a<x₁≦bである。
(ⅱ) n=kのとき、
が成り立つと仮定する。
すると、テーラーの定理より
となる
これに
仮定より
また、
ゆえに、n=k+1のとき
したがって、すべての正の整数に対して
である。
任意の正の整数nに対して
だから、
そこで、
とおくと、
漸化式より、
f(x)とf'(x)は連続なので、
よって、β=aである。
(証明終)
上記の定理の条件を満たさなくても、ニュートン法を用いて方程式f(x)=0の近似解を求めることができるが、計算過程で
なので、
と無限ループに嵌り、永遠に計算が終わらない事態が発生する(右図参照)。