有界収束の定理


 


普通の微分積分の教科書では取り扱っていない、有界収束の定理を紹介する。


 


定理4(有界収束の定理)


有界閉区間[a,b]で定義された連続関数から構成された関数列が有界で、連続関数f(x)に収束するならば、


  


が成り立つ。


 


この有界収束の定理はいわゆる微分積分の範囲を逸脱するので、証明は示さない。


 


例1 連続関数


  


からなる関数列は、すべての自然数nについて、


  


で有界。また、極限関数はf(x)=0[0,1]で連続なので、上の有界収束の定理より


  


と計算することができる。


 


 



  


を実際に計算し、


  


となることを確かめよ。


 


問題1 次の値を求めよ。


  


【解】


[0,1]の全ての点で


  


に収束し、


  


で有界。


したがって、定理4より


  


(解答終了)


 


実は、定理4は、もっと条件を弱めることができる。


 


定理4’(有界収束の定理)


が有界閉区間[a,b]積分可能[[a,b](のほとんど全て almost everywhere )でf(x)に収束し、かつ、が有界ならば、f(x)積分可能で、


  


が成り立つ。


 


ただし、下線部を引いた積分可能はリーマン積分可能の意味でない場合があるので注意が必要。


 


この定理4’を用いると、


関数列


  


の極限関数は


  


と、[0,1]で不連続なのに、


  


と計算できる理由を説明できる。


 


問題2 次の値を求めよ。


  


【解】


x=0のとき、


  


0<x≦1のとき、


  


したがって、極限関数f(x)


  


また、[0,1]


  


と有界なので、定理4’より


  


(解答終了)


 


問2


  


を実際に積分することによって、


  


の値を求めよ。


【略解】


  


よって、


  


ここで、erf(x)は誤差関数


  


(略解終)


 


これで、厄介な一様収束の判定から無縁になった!!


 


ただし、有界収束の定理は有界閉区間[a,b]でないと一般に成立しないので注意が必要である。