第4回 数列の極限の定理の続き


定理5

とする。

ならば、はともに収束する数列で、

  
である。

【証明】

  
だから、は上に有界の増加数列であり、は下に有界の減少数列なので、

  

が存在する(定理4)。

  

(証明終了)

定理6 (区間縮小法)

閉区間の列において

  

ならば、すべての閉区間に含まれる一点αが存在し、

  

である。

上限・下限、有界な単調数列の収束、区間縮小法の順番で証明したけれど、

有界な単調数列の収束→区間縮小法→上限・下限、

区間縮小法→上限・下限→有界な単調数列の収束

の順に証明することも出来る。

ここで、大学の解析の演習書などに載っている有名な問題(算術幾何平均)をやる。

その前に、下準備として

相加平均≧相乗平均

を証明する。

a≧ 0, b ≧ 0 のとき、

  

である。

  

だ・か・ら、 相加平均≧相乗平均


問題

  

とする。

  

を示し、

  

であることを示せ。

【証明】

  

さらに

  

さらに、相乗平均≦相加平均だから

  

となり、

  

となる。

定理5からはともに収束する数列となる。

  

として、

  

に、を代入すると

 ―――nが十分大きいならば、と見なせる―――

  

となり、

  

(証明終了)


定理8 (はさみうちの定理)

ならば

  

である。

【証明】

だから

  

である。

  

とすれば、n≧m

  

となり、

  

条件より

  

だから、

  

となり、n≧m

  

このことより

  

(証明終了)