第54回 一様収束する関数列の性質


 


 


定理1 (連続性)


区間Iで連続な関数列f(x)に一様収束するならば、f(x)Iで連続である。


【証明】


f(x)に一様収束するので、任意の正数ε/3>0に対して、ある自然数が存在し、任意のx∈Iに関して、


  


a∈Iとすると、は点aで連続なので、任意の正数ε/3>0に対して、あるがあって、


  


したがって、任意のε>0に対して、にすると、


  


(証明終)


 


問1 次の関数列は各点で収束するが、一様収束でないことを示せ。



【解】


(1) 任意の自然数nに対して[0,1]で連続だが、その極限関数


  


[0,1]で連続でないので、は一様収束でない。


 


(2) 任意の自然数nに対して[0,∞)で連続であるが、その極限関数


  


[0,∞)で連続でないので、は一様収束でない。


(解答終)


 


で定義される関数列は定数関数f(x)=0に各点収束し、また、f(x)=0x≧0で連続であるが、f(x)=0に一様収束しない。


したがって、この定理の逆は成立しない!!


 


 


問2 で定義される関数列は定数関数f(x)=0に各点収束するが、f(x)=0に一様収束しないことを示せ。


【解】


x=0のとき、任意の自然数nに対して


また、x>0のとき


  


だから、は定数関数f(x)=0に収束する。


関数の増減を調べるためにを微分すると、


    


となるから、x=1/nのときに極大かつ最大。


また、


  


だから、


  


ゆえに、


  


よって、x≧0f(x)=0に一様収束でない。


(解答終)


 


 


 


定理2 (定積分)


有界閉区間I=[a,b]で連続な関数列If(x)に一様収束するならば、


  


【証明】


連続な関数列[a,b]f(x)に一様に収束するので、定理1より、f(x)[a,b]で連続であり、積分可能。


また、はf(x)に一様収束するので、任意の正数ε>0に対して、


  


したがって、


  



(証明終)


 


問3 とするとき、関数列は定数関数f(x)=0に一様収束する。このとき、が成り立つことを確かめよ。


【解】


  


したがって、


  


(解答終)


 


問4 関数列の極限関数をf(x)とするとき、次の関数列はが成り立つか。



【解】


(1)


  


また、極限関数は


  


だから、


  


よって、


  


 


(2)


  


また、極限関数はf(x)=0だから


  


(解答終)


 


したがって、一般に、この定理も逆が成立しないことがわかる。


 


 


問5 


  


で定められる関数列について、次の問に答えよ。


(1) 関数列は[0,∞)で一様収束であることを示せ。


(2) は成り立つか。


【解】


(1) x∈[0,∞)について


  


であるから、だから、ハサミ打ちの定理より


  


また、


  


だから、f(x)=0に一様に収束する。


   


(2)


  


一方、


 


だから、


  


(解答終)


 


 


定理3 (微分)

区間I級な関数列I上でf(x)に各点収束し、さらに、I上でg(x)に一様収束するならば、


  


【証明】


a∈Iとし、aを固定すると、Iで連続なので、


  


また、f(x)に各点収束し、g(x)に一様収束するので、定理2より


  


g(x)Iで連続なので、


  


よって、f(x)I上で微分可能で


  


(証明終)