第53回 一様収束


 


 


前回の関数列の(各点)収束の復習を兼ねて、関数列の各点収束の定義を再掲する。


 


定義 (各点収束)


任意の正数ε>0と任意のx∈Iに対して、ある自然数N(x,ε)が存在して、n≧N(x,ε)を満たす任意の自然数nに関して、


  


が成り立つとき、関数f(x)を関数列の極限関数といい、関数列Iで関数f(x)各点収束するという。


 


各点収束の代表例として


  


で与えられる関数列があり、その極限関数は


  


である。


0<x<1の場合、任意のε>0に対して、


  


とすれば、


  


x=0の場合、任意のε>0に対し、に定めれば、


  


x=1の場合、 任意のε>0に対し、に定めれば、


  


 


一方、


  


で与えられる関数列


  


に各点収束するが、任意のε>0に対して、xの値に無関係に


  


と定めると、任意のx≧0の点で


  


が成立する。


 


 


定義 (一様収束)


関数列と関数f(x)Iで定義されているとする。


任意の正数ε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在して、任意のx∈Iと任意のn≧N(ε)に対して、


  


を満たすとき、関数列一様収束するという。


 


これを論理記号で書くと、


  


であるから、f(x)に一様に収束しないとは、これを否定するばよい。


すなわち、


  


したがって、


あるε>0が存在し、どのような自然数Nを与えても、


  


を満たす点x∈Iが存在すれば、f(x)に一様に収束しないことになる。


 


問1 とするとき、は一様収束するか。はどうか。


【解】


任意のx>0に関して


  


なので、に各点収束。


ε=1とし、任意の自然数Nに対しx=1/N∈(0,∞)にとると、


     


よって、は一様収束ではない。


の極限関数


任意のε>0に対して、


  


よって、


  


にとれば、


  


(解答終)


 


もちろん、


任意のε>0に対して、


  


になるためには、でなければならない。


よって、任意の正数ε>0に対して、


  


とすれば、


  


よって、0に各点収束するが、一様に収束しない。


としてもよい。


 


 


定理 (一様収束の必要十分条件)


関数列I上で関数f(x)に一様収束する必要十分条件は


  


【証明】


I上でf(x)に一様に収束するので、任意のε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在し、任意のx∈Iかつ任意のn≧N(ε)に関して、


  


が成立する。


逆に、のとき、


任意のx∈Iに対して、


  


が成り立つので、


  


よって、f(x)に一様収束する。


(証明終)


 


 


問2 次の関数列は各点収束するが、一様に収束しないことを示せ。



【解】


(1) 


  


よって、0に各点収束する。


  


したがって、は、で極小かつ最小、で極大かつ最大。


よって、


  


ゆえに、


  


なので、は一様収束でない。


 



 


(2)


  


したがって、f(x)=xに各点収束する。


  


だから、は一様収束でない。


(解答終)


 


【別解】


(1) ε=1/2>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=1/Nとすると


  


したがって、一様収束でない。


 


(2) ε=1>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=Nとすると、


  


よって、一様収束でない。


(別解終)


 


 


問3 次の関数列が一様収束することを示せ。



【解】


(1) 0<a<1だから


  


よって、極限関数f(x)=0


また、


  


よって、f(x)=0に一様収束する。


 


(2)


  


よって、x=1/nのとき極大かつ最大。


また、だから、


  


ゆえに、ハサミ打ちの定理より


  


また、


  


だから、は極限関数f(x)=0に一様に収束する。


 


(解答終)


 


さて、I=[0,1)とし、Iで定義されているとすると、


  


となるので、Iで一様収束でない。しかし、問3の(1)より、0<a<1とするとき、任意の閉区間J=[0,a}で一様収束する。このように、Iでは一様収束でないが、Iに包まれる任意の閉区間JJ≠I)で一様収束する場合がある。


 


定義 (広義一様収束)


区間Iで定義された関数列I内の任意の閉区間Jf(x)に一様に収束するとき、f(x)広義に一様収束するという。


 


定義から、関数列Iで一様収束すれば、Iで一様収束する。しかし、この逆は成立しないので注意。