正項級数 その2


 




定理7


区間[1,∞)で定義された連続関数f(x)が、f(x)>0かつ単調減少とする。


このとき、正項級数と広義積分は同時に収束・発散する。


【証明】


kを自然数とする。


k≦x≦k+1とすると、f(x)は減少関数なので、


  


したがって、


  


よって、


  


したがって、が収束するならば、


  


となり、は収束する。


が発散するとき、から広義積分も発散する。


(証明終)


 


 


α>0に対して、


  


一般調和級数という。


 


 


定理8 (一般調和級数の収束・発散)


一般調和級数が収束する必要十分条件はα>1である。


【証明】


α>0とすると、関数[1,∞)においてf(x)>0かつ減少関数である。よって、正項級数と広義積分は同時に収束・発散する。


ところで、広義積分が収束する必要十分条件はα>1であったから、正項級数も同じ条件で収束する。


(証明終)


 


問1 次の級数の収束・発散を判定せよ。



【解】


(1) とすると、f(x)>0かつf(x)は単調減少関数。


  


したがって、は発散する。


 


(2) とすると、f(x)>0かつf(x)は単調減少関数。


  


したがって、は収束する。


(解答終)


 


 


定理9 (ダランベールの判定法)


正項級数において、


  


が存在するとき、


(1) ならばは収束する


(2) r>1ならばは発散する。


【証明】


(1) r<ρ<1であるρを取り、このρに対して適当な自然数Nを取ると、


  


したがって、


  


よって、このとき、正項級数は収束する。


 


(2) 1<ρ<rであるρを1つとり、このρに対して適当な自然数Nを定めると、


  


したがって、


  


よって、は発散する。


(証明終)


 


定理10 (コーシー・アダマールの判定法)


正項級数において、


  


であるとき、次のことが成り立つ。


(1) 0≦r<1ならばは収束する。


(2) r>0ならばは発散する。


【解】


(1) r<ρ<1であるρを1とり、このρに対して適当な自然数Nを定めると、


  


とすることができる。


よって、


 


0<ρ<1より、は収束するので、は収束する。


 


(2) 1<ρ<rであるρを1つとって、このρに対して適当な自然数Nを定めると、


  


よって、


ρ>1より、は発散するので、は発散する。


(証明終)


 


(注)


ダランベール、コーシー・アダマールの判定法ともに、r=1のとき、収束・発散の判定が行えないので、この点は注意すること。


 


 


問2 次の級数の収束・発散を判定せよ。



【解】


(1) とおけば、


  


よって、ダランベールの判定法により、収束する。


 


(2) とおくと、


  


したがって、ダランベールの判定法より、発散する。


(解答終)