第49回 定積分の応用 面積


 


 


関数y=f(x)が閉区間[a,b]で連続、かつ、f(x)≧0とする。このとき、曲線y=f(x)、直線x=ax=bx軸で囲まれた部分の面積Sについて考える。


[a,b]の分割を


  


とし、小区間f(x)の最大値、最小値を、さらに、曲線y=f(x)≧0と2つの直線x軸に囲まれた部分の面積をとすると、だから、


  


だから、


  


また、f(x)[a,b]で連続なので積分可能だから、リーマン和の定義から、


  


したがって、


  


である。


 



 



 


 


同様に、関数x=g(y)が閉区間[c,d]で連続、かつ、g(x)≧0とするとき、曲線x=g(y)、直線y=cy=by軸で囲まれた面積S


  


である。


 


問1 次の曲線とx軸とで囲まれた部分の面積を求めよ。



 


【解】


曲線とx軸で囲まれた面積をSとする。


 


(1) y=sin xは閉区間[0,π]y≧0なので、


  


 


(2) x軸都の交点のx座標を求めると、x=0x=1。また、[0,1]y≧0なので


  


とおき、置換積分を適用すると、x=1−t²dx=−2tdtだから、


  


(解答終)


 


 


問2 次の問に答えよ。


(1) 楕円の囲む面積を求めよ。


(2) アステロイドの囲む面積を求めよ。


【解】


(1) 求める面積は第1象限の部分の面積の4倍。


第1象限ではy≧0だから


  


よって、求める面積S


  


とおくと、だから、


  


特に、a=b>0であるとき、


  


 


(2) 求めるべき面積は第1象限の部分の4倍。



第1象限ではy≧0だから


  


よって、求める面積S


  


とおくと、


  


から、


  


さて、


  


だから、


  


(解答終)


 


 


問3 次の曲線によって囲まれた面積を求めよ(a>0)。


(1) サイクロイドx


(2) アステロイド


【解】


(1) 求める面積はで与えられる。だから


  


 



 


(2) 求める面積は第1象限の部分の4倍なので



また、だから、


  


(解答終)


 


なお、(2)では、


  


を使っている。


 


 


定理 (2曲線で囲まれた部分の面積)


閉区間[a,b]において、f(x)g(x)は連続で、かつ、f(x)≧g(x)であるとき、2曲線y=f(x)y=g(x)と、2直線x=ax=bで囲まれた部分の面積S


  


【証明】


[a,b]において、f(x)≧0g(x)≧0とする。


このとき、曲線y=f(x)と2直線x=ax=bx軸に囲まれた部分の面積は


  


曲線y=g(x)と2直線x=ax=bx軸に囲まれた部分の面積は


  


であるから、


  


[a,b]において、f(x)≧0かつg(x)≧0でないとき、適当な定数cを加えると、[a,b]においてy=f(x)+c≧0y=g(x)+c≧0とすることができる。y=f(x)y=g(x)で囲まれた部分の面積は、y軸の正の方向に平行移動しても、その値は変わらない。


したがって、


  


(証明終)


 


 


問4 次の面積を求めよ。


(1) 2つのy=2x²−7x+8y=−x²+5x−1で囲まれた面積


(2) 曲線y²=xと直線y=x−2とで囲まれた面積


【解】


(1) y=2x²−7x+8y=−x²+5x−1の交点のx座標は、


  


より、x=1x=3


したがって、求める面積は


  


 



 


(2) 方程式y²=xy=x−2からxを消去すると、


  


したがって、y²=xy=x−2の交点のy座標はy=−1y=2


よって、曲線x=y²と直線x=y+2とで囲まれた面積は


  


(解答終)


 


(2)は、y²=xyについてy=±√xと解いて、


  


と面積を求めることができるが、こうすると計算が少し大変。


 


また、公式(?)


  


を使うと、定積分を計算することなく


  


と解くこともできる。