第36回 微積分の基本定理


 


 


f(x)[a,b]で連続ならば、f(x)[a,b]で積分可能である。


 


定理1 (積分の平均値定理)


f(x)[a,b]で連続ならば、


  


を満たすξが存在する。


【証明】


f(x)[a,b]で定数cのとき、


  


だから、


  


となり、a<ξ<bである、任意のξについて成り立つ。


f(x)[a,b]で定数でないとき、f(x)は有界閉区間[a,b]で最小値mと最大値Mを持つ。


  


したがって、中間値の定理より


  


(証明終)


 


定理2


f(x)は区間Iで連続とする。定点と任意のに対し、


  


とおくと、F(x)Iの各点xで微分可能で、


  


【証明】


  


f(x)Iで連続だから、積分の平均値の定理より


  


となるθが存在する。


したがって、


  


(証明終)


 


定理3


f(x)[a,b]で連続とする。F(x)f(x)の原始関数、すなわち、


  


ならば、


  


【証明】


定理2より


  


f(x)の原始関数の1つで、


  


したがって、


  


だから、


  


したがって、


  


(証明終)


 


問1 次の定積分の値を求めよ。



【解】


(1) の原始関数なので、


  


 


(2)


  


 


(3)


  


m≠nのとき


  


 


m=nのとき、


  


(解答終)


 


問2 f(x)[a,b]で連続な関数とするとき、次のことを示せ。


任意のx∈[a,b]に対してならば、である。


【解】


の両辺を微分すると、


  


(解答終)


 


問3 次の条件を満たす連続な関数f(x)を求めよ。



【解】


(1) は定数なので、


  


とおくと、


したがって、


  


よって、


  


 


(2) 両辺を微分すると、


  


両辺を積分すると


  


また、


  


だから、x=1を代入すると、


  


よって、


  


したがって、


  


(解答終)


 


 


問4 次のことを示せ。


(1) f(x)が区間Iで連続、φ(x)が区間Jで微分可能であって、ならば、a∈Iと任意のx∈Iに対して、


  


(2) f(x)が実数全体の集合Rで連続であって、任意のxh∈Rに対して


  


ならば、f(x)は定数値関数である。


【解】


(1) とおくと、


  


Fφが微分可能であるから、Φは微分可能であって、


  


また、


  


だから、


  


 


(2) xを固定し、両辺をhで微分すると、


  


これが任意のhについて成り立つので、f(x)は定数値関数である。


特にh=−xとすれば、


  


(解答終)