第25回 ランダウの記号と漸近展開


 


§1 無限小、無限大


 


aを実数、または、±∞とする。


ならば、x→af(x)無限小であるという。


ならば無限大であるという。


 


関数f(x)g(x)が点aにおいて無限小のとき、


  


であるという。


f(x)が同位の無限小であるとき、f(x)g(x)α位の無限小といい、α位数という。


 


例1


  


だから、sinxxは同位の無限小で、1−cosx無限小でxの2位の無限小である。


また


  


だから1−cosxxより低位の無限小である。


 


関数f(x)g(x)が点aにおいて無限大のとき、


  


であるという。


 


問1 x→0のとき、次の無限小を小さい順にならべよ。


  


【解】


  


だから、xsin xは同位の無限小。


  


これは∞/∞の極限だから、ロピタルの定理より


  


よって、x²logx|はxより高位の無限小である。


(解答終)


 


§2 ランダウの記号


 


x→aのときにf(x)g(x)の比f(x)/g(x)が有界にとどまるならば、すなわち、ある定数Mがあって、点aの近傍の任意の点x(≠a)について


  


ならば、このことを


  


で表す。


特に、0でない極限値をもてば、である。


 


また、


  


のとき、


  


で表す。


このΟοランダウのビッグオーランダウノスモールオーと呼ぶ。(実は、Οοはギリシア文字であるオミクロンの大文字、小文字!!)


 


例2


  


だから、


  


である。


 


例3 のとき、


  


だから、


  


である。


というか、これは定義。


 


例4 


  


だから、


  


 


f(x)g(x)φ(x)Ψ(x)は点aの近傍で定義された関数で、x→aのときψ(x)=o(g(x))であり、


  


であるとする。


このとき、ψ(x)o(g(x))であるすべての関数を代表していると考えられるので、o(g(x))をあたかも関数のように


  


と表すことがある。


同様に、


  


のとき、


  


と表す。


 


さらに、f(x)g(x)h(x)が点aの近傍で定義された関数で、x→aのときφ(x)=o(g(x))ψ(x)=o(h(x))であり、


  


であるとき、


  


また、


  


であるとき、


  


と表す。


 


§3 ランダウの記号の性質



定理 (ランダウ記号の演算)


mnを正数とする。x→0のとき、次のことが成り立つ。


 


【略証】



(略証終)


 


 


§4 漸近展開


 


定理 (漸近展開)


f(x)は、0を含む区間I級とする。このとき、


  


[証明]


マクローリン(テーラー)の定理より、関数fは、任意の点x∈Iで、


  


であるθが存在する。


よって、


  


ここで、


  


とおく。


x→0のときθx→0で、f級だから


  


よって、


  


である。


したがって、


  


(証明終)


 


以下に代表的な関数の漸近展開を示す。


  


ここで、


  


である。