第9回 微分可能と微分係数


 


aの近傍で定義された関数f(x)が、点aにおいて次の極限値


  


をもつとき、この極限値を点aにおけるf(x)微分係数であるといい、


  


で表す。また、このとき、f(x)は点a微分可能であるという。


 


微分係数の定義式(1)において、x−a=hとおくと、x→aならばh→0となるので、次のように書き換えることができる。


  


 


関数f(x)に対して、


  


が存在するとき、この極限値をf(x)の点aにおける右側微分係数といい、


  


で表す。


また、


  


が存在するとき、この極限値をf(x)の点aにおける左側微分係数といい、


  


で表す。


 


定理1 (微分可能の必要十分条件)


関数f(x)が点aで微分可能である必要十分な条件は、f(x)が点aで右側、左側微分可能で、かつ、であることである。


【証明】


関数の極限の定理2より、


  


が存在するための必要十分条件は、


  


が存在し、その値が一致することである。


よって、証明された。


(証明終)


 


定理2(微分可能な関数の連続性)


関数f(x)が点aで微分可能であれば、f(x)は点aで連続である。


【証明】


x≠aのとき、


  


f(x)は点aで微分可能なので、


  


したがって、


  


となり、f(x)は点aで連続である。


(証明終)


 


例 は点x=0で連続。


しかし、x>0のとき、f(x)=xなので、


  


x<0のとき、f(x)=−xなので、


  


となり、


  


定理1より、f(x)は点x=0で微分可能でない。


 


 


問1 次の関数について、が存在すれば求めよ。



【解】


(1)


  


だから、f'(0)=0


 



 


(2)


  


右側、左側微分係数のどちらも存在しない。


(解答終)


 


 


問2 次の関数はx=0で微分可能か。


 


【解答】


(1) x≠0とすると、


  


x→0のとき、は−11の間で激しく振動し、収束しないので、微分可能でない。


(下図参照)


 


 


 


(2) x≠0のとき、


  


であり、


  


したがって、


  


よって、x=0で微分可能で、f'(0)=0である。


(解答終)


 


問3 f(x)は点x=aで微分可能であるとする。このとき、次の値を求めよ。



【解】



(解答終)