ちょっとお前らに質問


 


次の2つの集合ABがあるとする。


  


Aのすべての元aBの元であり、同時に、Bのすべての元bAの元であるので、集合の相等の定義から、


  


になる。


 


一方、集合Aの要素の個数(濃度)をn(A)で表せば、n(A)=3、集合Bの要素の個数n(B)=6――誰がなんと言おうが、Bには集合の元が6つ――なので、


  


になる。


 


集合の濃度論的には、


  


になってもらわないと困る。


(1)式が成り立たないと、数学の基礎が揺らいでしまう。これは由々しき問題だケロ(^^ゞ。


 


この絶体絶命のピンチをどう乗り越えたらいいのか、お前ら、考えるにゃ。


 


ここまでは前振りなので、真に受けるなよ。


 


数学には集積点と呼ばれるものがある。


集積点の定義は、たとえば、次のようなものである。


 


定義 AXの部分集合であるとする。Xの点xA−{x}触点であるとき、xA集積点という。


 


これでは、何を書いてあるかわかりにくいと思うので、改めて、集積点を次のように定義することにする。


 


任意の正数ε>0に対し、


  


となるa∈Aが存在するとき、xAの集積点という。(少しアレンジを加えているが、とある数学の本に出ている定義。)


 ――なので、x=aではなく、A−x}を表している。そして、(2)は、点xの近傍の中にxと異なるAの点aが少なくとも1つ存在することを意味している。――

 


では、この集積点の定義を踏まえて、次の問題を解いてもらおうか。


 


 


問題 次の問に答えよ。


(1) の集積点は0だけであることを示せ。


(2) の集積点を求めよ。


 


 


この問題の集合の場合、集合ABの濃度|A|、|B|はともに可算濃度(アレフゼロ)なので、|A=B|となり、問題は発生しない。


しかし、集合Aの任意の元は集合Bの元であり、かつ、集合Bの任意の元は集合Aの元でもあるので、


  


が成立し、ABの集積点はともに0になってしまう。


 


こんなことをことさら問題で問うとているからには、0以外にBの集積点が存在するに違いない。いやいや、これは引掛け問題で、Bの集積点は0だけかもしれない(^^ゞ。


 


そして、


不親切きまわりないことに、この問題と集積点の定義(2)が出ている数学の本には、この問題の答が載っていない!! のであった。


 





 


ところで、触点って何だ。


 


任意の正数ε>0に対し、


  


であるとき、xは集合A触点という。


ここで、


  


なお、Rは実数全体の集まりである。