極限の図形への応用


 


問題1 半径rの円Oの周をn等分したときのしたときの1つの弦をABとするとき、△OABの面積を求め、これを利用して円の面積Sを求めよ。


【解】


だから、


  


よって、


  


とおくと、n→∞のとき、θ→0となるので、


  


(解答終)


 


このように、半径rの円に内接する正多角形の極限を用いて、円の面積πr²を求めるのだとすると、


高校以来おなじみの三角関数の極限の公式


  


の証明は、循環論法となり、証明にならない。


何故ならば、この公式の証明に円(弧)の面積を使っているから!!


 


 


問題2 中心角がθである扇型OABの弧ABと2つの半径OAOBに接する円をCとする。


  


とおくとき、


(1) f(θ)を求めよ。


(2) を求めよ。


【解】


(1) 直線OCと弧ABの交点をDCから半径OAに下ろした垂線の足をHとする。


OA=RCH=rとすると、


  


rについて解くと、


  


したがって、


  


 


(2)


  


(解答終)


 


 


問題3 三角形ABCにおいて、AB=aAC=b、∠BAC=θ、∠BACの2等分線の三角形内にある部分ADの長さをlとする。


(1) △ABDの面積をalθで表わせ。


(2) labθで表わせ。


(3) abを一定に保ち、θ0に近づけるとき、を求めよ。


【解】


(1) 


 


(2)


  


また、


  


ABC=△ABD+△ADCだから、


  


 


(3)


  


(解答終)


 


(3)の別解として、次のものをあげておく。


  


 


 


問題4 直角三角形ABCにおいて、∠A=π/2AB=a(一定)とする。頂点AからBCに下ろした垂線の足をHとし、∠B=θとするとき、次の値を求めよ。


  



 


【解】


(1)


  


したがって、


   


 


(2) だから、


  


よって、


  


(解答終)


 


 


問題5 半径rの円周上の定点Aから弦AP、および接線ATを引き、AP=TAになるようにに、直線TPAAを一端とする直径の延長をQとする。


Pが円周上を限りになくAに近づくとき、線分AQの長さはどうなるか。ただし、ATAを一端とする直径に関してAPと同じ側にあるものとする。


【解】


PATθとすると、条件より、


  


また、∠Q=θ/2(注)であるから、


  



 


(解答終)


 


(注)


接弦定理から∠ ABP=∠TAP。


AからPTに下ろした垂線の足をHとすると、△THA∽△TAQ。
また、△ATPは条件よりAP=TAの二等辺三角形だから、∠TAH=θ/2となり、これから∠Q=θ/2である。