少しだけ行列式と外積のお話


 


高校の数学で、現在、行列は学ばないので、行列や行列式に馴染みのない、あるいは、馴染めないヒトが増えているように思う。


そこで、少しだけ、行列式の話をする。


 


2次の正方行列


  


の場合、行列式は


  


で定義される。


 


この行列式を使うと、連立方程式


  


の解は、|A=ad−bc≠0のとき、


  


と、行列式を用いて求めることができる。


そして、


連立3元一次方程式


  


の解は、


  


となる。


(4)、(5)などをクラーメルの公式という。


そして、このクラーメルの公式は、より一般の連立n元一次方程式にも拡張ができ、行列式の具体的な計算法を知らずとも、その解を形式的に示すことができる。


と同時に、このクラーメルの公式から、未知数の係数が作る行列式


  


であるとき、連立方程式の解が1つに定まらないことがわかる。


何か、凄いと思わない(^^)


 


連立千元一次方程式であろうが、一万元の連立方程式であろうが、このクラーメルの公式を使えば、たちどころに求めることができるはずなんですが、実際、このクラーメルの公式がコンピュータを用いた連立方程式の解法で使われることはない。


クラーメルの公式は計算量が膨大になるので、いくら単純な繰り返し計算を高速に計算できるコンピュータとはいえ、計算時間がトンデモなくかかってしまうんでね。


 


とはいえ、連立方程式の解を求める上で、行列式がいかに便利なものであるかは、理解してもらえたのではないか。


 


以上は、代数的なお話。次に、幾何学的な観点から行列式を見てみることにする。


 


とし、下の図に示されるような、この2つのベクトルが作る平行四辺形OABCの面積Sを求めることにする。


 



 


このとき、面積S


  


となる。(θ=0πのとき、は平行となり、平行四辺形にならないので除外)


の内積の定義式


  


と三角関数の関係式


  


を使うと、(7)は


  


となる。


また、


  


であるので、


  


となる。


ここで、


  


に注目すると、の作る平行四辺形OACBの面積は、


  


となっている。


つまり、行列の行列式の絶対値はの作る平行四辺形OACBの面積になっているってわけ。


 


また、基本ベクトル


  


の行列Aによる像は


  


である。


したがって、行列式の絶対値は、xy平面の基本ベクトルの作る長さ1の正方形の一次変換Aによる像の面積になっていると考えることもできる。


さらに、このことから、行列式は、原像と一次変換Aによるその象の面積の拡大率をあらわすと考えることもできる。


なぜ、重積分の変換公式で


  


と、ヤコビアンJ


  


が藪から棒に出てくるかといえば、ヤコビアンは面積の拡大縮小率だからだ。


 



さてさて、3次元ベクトルの外積は、


  


だにゃ。


特に、のとき、


    


となる。


そして、という2つの平面ベクトルの作る平行四辺形の(符号付き)面積になっていることに気づいてもらえるのではないか。