位相の問題 距離空間の開核、閉包作用子


 


§1 距離空間の位相の用語説明


 


dX上の距離(関数)とする。


 


1 x∈Xと、任意のε>0に対し、


  


となるXの部分集合をxε‐近傍開球という。


 


2 x∈Xに対して、Xの部分集合Uが、あるε>0が存在し、


  


を満たすとき、Ux近傍といい、xの近傍全体の集合近傍系という。


 


3 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、あるε>0が存在し、


  


を満たすとき、xA内点という。Aの内点全体の集まりをA開核といいなどで表す。


 


4 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、


  


を満たすとき、xA触点という。Aの触点全体の集まりをA閉包といい、などで表す。


 


5 Xの部分集合Aがをみたすとき、AX開集合という。


 


6 Xの部分集合Aをみたすとき、Ax閉集合という。


 


7 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、


  


を満たすと、xA境界点という。Aの境界点全体の集まりをA境界といい、などで表す。


 


8 Xの部分集合Aに対し、x∈Xが、任意のε>0について、


  


をみたすとき、xA集積点といい、Aの集積点全体の集まりをA導集合といい、などで表す。


 


定理1 を距離空間、Xの開集合全体の集まりとする。このとき、次のことが成り立つ。



【証明】


(1) 略


(2) x∈O₁∩O₂とすると、だから、あるε₁>0が存在し、B(x;ε₁)⊂O₁、あるε₂>0が存在し、B(x;ε₂)⊂O₂とできる。


そこで、正数ε


  


にとれば、


  


よって、


  


(3) x∈O₁∪O₂とすると、x∈O₁またはx∈O₂である。だから、


  


をみたすが存在する。


したがって、


  


よって、


  


(証明終)


 


定理2 AXの部分集合とする。


 Aが開集合⇔Aの補集合は閉集合


 


 


 


§2 問題編


 


問題1 を距離空間、AXの部分集合とする。次のことを示せ。



【解】



(解答終)


 


問題1は、閉集合の補集合は開集合であることを、開集合の補集合は閉集合であることを表している。


 


問題2 を距離空間、ABXの部分集合とするとき、次のことを示せ。



【解】


(1) すべてのx∈X、すべてのε>0に対して。したがって、


 


(2) とすると、あるε>0が存在して。したがって、


 


(3) (2)より、である。とすると、あるε>0が存在して、とすることができる。y∈B(x;ε)に対して、δ=ε−d(x,y)>0とおき、とすると、


  


よって、


  


となり、。つまり、


ゆえに、


したがって、


 


(4) (3)よりはともに開集合なので、は開集合。ゆえに、任意のに対してとなるε>0が存在する。さらに(2)より、となり、。すなわち、


とすると、となるε>0が存在する。よって、


  


すなわち、


  


よって、


  


したがって、


  


(解答終)


 


 


問題3 を距離空間、ABXの部分集合とする。このとき、次のことを示せ。



【解】


問題1の(1)と問題2の結果を使う。


 


(1) 


 


(2) より


  


 


(3) より、


 


(4) より、


  


したがって、


  


よって、


  


(解答終)


 


 


問題4 を距離空間、ABXの部分集合とする。このとき、次のことを示せ。


(1) Aに包まれる最大の開集合である。


(2) Aを包む最小の閉集合である。


(3) 


(4) 


【解】


(1) よりは開集合。Oを開集合でO⊂Aとすると、任意のx∈Oに対して、あるε>0が存在して、B(x;ε)⊂G


また、G⊂Aであり、B(x;ε)⊂A


したがって、


  


よって、は集合Aに包まれる最大の開集合である。


 


(2) よりは閉集合。Fを閉集合でA⊂Fとする。


ならば、任意のε>0に対して、


  


よって、


  


ゆえに、


  


よって、


  


となり、Aを包む最小の閉集合である。


 


(3)


  


 


(4) 


(解答終)