このブログの共同執筆者のひとりであるddt³さんから、ddt³さん提出の次の問題(7月18日)の回答をいただいたので、これを紹介することにする。


 


 位相をかじってると次のようになります。ただし我慢して定義の連続を読む必要はありますが(^^;)、頭の体操です。


 


 


[分離空間の定義]


 Xを位相空間とする(位相空間の定義を読む)。


 xy∈Xかつx≠yについて、共通分が空となるxの近傍とyの近傍がある(位相空間の近傍の定義を読む)。


 


 


 Xを集合,x∈Xとして、(xx)の形の点全体の集合を、積集合X×Xの対角集合Δと言います。


 


[定理-1


 Xが分離位相 ⇔ X×XでΔは閉。


[証明]


 省略。でも定義だけから示せます。


 


 必要な定義:


  分離空間の定義。位相空間の開集合,閉集合,近傍の定義。


[証明終]


 


 


[定理-2


 Xを位相空間,Yを分離空間、fg:X→Yかつ連続とする。f(x)g(x)となるxの全体Dは、Xで閉。


[証明]


 h:X→Y×Yで、x→(f(x)g(x))の形のものを考える。


 fg:X→Yは連続だから、hも連続(積写像と連続写像の定義とそれから導かれる性質)。


 Dは、Y×Yの対角集合Δhによる逆像に一致する。Δは[定理-1]より閉集合なので、連続関数の性質からDは閉。


 


 ※もちろんE={(pq)f(x)g(x)となる(pq)(f(x)g(x))}は、一般にΔと一致しません。しかしhの定義から、


 


  h()=E∩Δ⊂Δ


 


になるので、特にDの定義から、


 


  D=h^(-1)(E∩Δ)h^(-1)(Δ)


 


です。本当は証明すべきですが。


[証明終]


 


 


[系-1(等式延長の原理)]


 fg:X→Yかつ連続、Xを位相空間,Yを分離空間とする。


 A⊂XがXで密とすれば、A上でfgならXでfg


[証明]


 1) Dを[定理-2]の集合とすれば、A⊂D(逆像の定義と性質)。またDは閉集合。


 


 密空間(稠密空間)の定義から、Aの閉包をA’として、


 2) 1)からA’⊂D。Dが閉である事と閉集合の定義。


 3) A’=X。密空間の定義。


 


 2)3)より、D⊂X=A’⊂Dなので、D=X。


[証明終]


 


 


ネムネコの補足


 


位相の定義を上げると、たとえば、次のようになる。


 


空でない集合Xに対し、Xの部分集合の集合OXのべき集合の部分集合)が


  


をみたすとき、OX上の位相、XOの組〈X, O〉を位相空間という。


 


さらに、位相空間〈X, O〉の開集合、閉集合、近傍などの用語説明。


 


位相空間〈X, O〉に対して、


1 Oの元(要素)を開集合という


2 Xの部分集合Aは、その補集合が開集合であるとき、閉集合という。


3 x∈XXの部分集合Vに対して、x∈U⊂Vとなる開集合Uが存在するとき、Vx近傍であるという。


 


この定義から、Xの補集合は空集合∅、そして、空集合∅の補集合はXだから、Xと∅は、開集合であると同時に閉集合になる。


Xと∅以外に、開集合かつ閉集合である集合が存在しないとき、位相空間〈X, O〉は連結であるという。


 


そして、分離空間とは、Xの相異なる2点がつねに交わらない2つの開集合によって分離できるハウスドルフ空間のこと。


 


さらに、分離の定義。


 


X, O〉を位相とする。


Xの相異なる2点abが、互いに交わらないXの開集合ABで、a∈Ab∈Bとなるものが存在するとき、開集合によって分離されるという。


 



 


実数全体の集合Rと、その部分集合である開区間I(条件a<x<bを満たす集合)は、この上の性質を全て有している。


 


こんなことは知らなくていいことですが、


位相にはT₀T₁T₂T₃、T₄の5種類ほどの分離のタイプがあって、この分離は3番目のもので、これを満たすものをT₂空間と呼ぶことがある。


そして、普通、位相で分離といったら、3番目のものをいう。


 


というこどで、ハウスドルフ空間といったら、実数全体の集合R、数直線をイメージすれば、大体、間違いがない。


 


たとえば、a<bのとき、


  


とすれば、


  A⊂RB⊂RA∩B=∅a∈Ab∈B


という条件を満たすので、abは交わらない2つの開集合AB(開区間)で分離できる。


そして、このことから、〈R, O〉はハウスドルフ空間であることを示すことができる。


だって、x≠yのとき、xyの小さい方をa、大きい方をbをおけばいいのだから。


 


 


を位相空間、とする。


1 すべてのYの開集合Gに対し、Gfの逆写像の像Xの開集合であるとき、fからへの連続写像という。


2 Xの元xに対して、f(x)Yにおける近傍Vfによる逆像xXにおける近傍になっているとき、fxで連続であるという。


 


で、Xのすべての点xfで連続であることと、が連続であることと同値である。


 


そして、次の定理(?)。


 


定理(?)


R, O〉を実数直線とする。関数f:R→Rが連続であることと、



を満たすことは同値である。