ニュートンの冷却の法則と雨粒の落下速度


 


ニュートンの冷却の法則


物体の冷える速度は、物体の温度と周囲の温度の温度差に比例する。


 


時刻tにおける物体の温度をT、周囲の温度を、さらに比例定数をk>0とすると、ニュートンの冷却法則は、次の微分方程式で表すことができる。


  


 


この微分方程式(1)は、変数分離法を用いて、次のように解くことができる。


  


時刻t=0における物体の温度をT₀とすると、


  


よって、


  


したがって、


  


つまり、十分に時間が経過すると、物体の温度は周囲の温度と等しくなる。


 


微分方程式の(特殊)解は、(2)ではなく、次のように表したほうが物理的に、より、一般的なのだろう。


  


 


さてさて、いま、変数分離法を用いて微分方程式(1)を解いたが、周囲の温度は一定と仮定しているので、(1)は次のように書き換えることができる。


  


そこで、とおくと、


  


よって、この微分方程式の一般解は次のようになる。


  


だから、


  


となり、初期条件t=0のときT=T₀を代入すると、(2)または(3)を得る。


 


なお、変数分離法を用いない微分方程式(4)の解法は次のようになる。


 


(4)から


  


両辺にを掛けると、


  


  


 


もちろん、と置き換えることなく、(1)式を


  


と変形し、この両辺にをかけ、


  


さらに、これを積分し、


  


と解くこともできる。


 


数学的には、と置き換えて解こうが、上記のように直接解こうが、どちらでも構わないのですが、自然現象、特に、物理現象には、微分方程式(4)の形に表されるものが意外に多い。たとえば、放射性物質の崩壊、コンデンサーの放電、日焼けの原因になる紫外線の皮膚への浸透などなど。


 


次に、地上数千メートルの高さから雨粒が落ちてくる運動について考える。


雨粒の質量と落下速さそれぞれmvとし、重力加速度をgとし、落下する雨粒を減速させる抵抗力が速さvに比例すると仮定すると、雨粒の運動方程式は次のようになる。


  


両辺をmで割ると、


  


mg/kが一定であると仮定すると、


  


高さ数千メートルのところから落ち始める雨粒の速さv0だろうから、落ち始めの時刻をt=0とすると、


  


したがって、


  


この上限の速さmg//kを、(雨粒の)終端速度という。


 


もし、空気抵抗がないすると、高さH=2000mから初速0で雨粒が落ちてくる雨粒の地表面での速さは


  


という猛烈な速度になる。


これくらいの速度になると、水、雨粒は固体と同じだから、雨粒はショットガンの散弾以上の破壊力を持つことになり、地上にはいかなる生き物も存在し得ないことになる!!


 


なお、終端速度は(6)でdv/dt=0とおいた


  


から求めることができる。


あるいは、(6)式でt→∞の極限をとって求めることができる。


 


雨粒ではなく油滴ですが、物理学者ミリカンは、油滴の終端速度を利用し電子の電荷(電気量)を求め、のちにノーベル物理学賞を受賞しているにゃ。


この実験を、ミリカンの油滴実験という。


 


ミリカンの油滴実験


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