集積点のよもやま話3


 


アルキメデスの公理


任意の正の実数abに対して、


  


となる自然数nが存在する。


 


定理(有理数の稠密性)


zを1つの実数とすると、任意の正数εに対して、


  


となる有理数aが存在する。


【証明】


アルキメデスの公理より、任意の正数εに対して、


  


すなわち、


  


となる自然数nが存在するので、


  


を示せば十分。


z≧0とする。


  


とすると、自然数全体の集合Nは上に有界でないから、A≠∅


また、Aは自然数全体の集合Nの部分集合だから最小の自然数k∈Aが存在する。


よって、


  


故に、


  


よって、とすればよい。


z<0のとき、−z>0とし、上の結果を用いればよい。


(証明終)


 


この定理は、実数のすぐ近くには有理数が(無数に)存在していることを表しており、この性質を有理数の稠密性という。


 


と、準備を終えたところで、次の問題の答。


 


問題 A0以上1以下の有理数の集合、すなわち、


  


とするとき、Aは閉集合かそうでないか、答えよ。


ここで、Qは有理数全体の集まり。


 


全体集合Xを実数全体の集まりRとし、AXの部分集合とする。


  


で、1/√2は無理数だから実数なので、上の定理から、


任意の正数εに対して


  


である有理数a∈Aが存在する。(a=1/√2でないから、となることに注意)


というわけで、1/√2は集合Aの集積点である。


Aの集積点のすべてをAは含まないので、Aは閉集合でないということになるのであった。


 


また、Aの集積点の集合、すなわち、Aの導集合


  


である。


一般に、有理数全体の集合をQとすると、


  


という関係が成立する。