集積点についてのよもやま話


 


集積点 点aが集合A集積点accumulation point)であるとは、aの任意の近傍の中にaと異なるAの点が少なくとも1つ存在することである。


このことは、次のように言い換えられる。


任意の正数ε>0に対して、


  


となるx∈Aが存在する。


 


定理 Aが閉集合である⇔Aの集積点はすべてAに含まれる。


 


昨日、


  


の集積点を求めよという問題を出したけれど、この問題を出したのは、上の定理に関わる内容だから。


 


たとえば、


  


という1点集合Aがあるとすると、これは閉集合である。


 


【証明】


1{1}の触点であることは明らか。


x≠1とし、これがAの触点であるとすると、任意のε>0に対して、


  


でなければならない。


εは任意の正数なので、


  


とすると、


  


となり矛盾。


よって、一点集合A={1}の触点は1のみなので、Aは閉集合である。


(証明終)


 


ここで、


  


であり、B(x;ε)xの(イプシロン)近傍のこと。


 


あるいは、


 


【証明】


実数全体の集合Rに対するA={1}の補集合


  


は、開集合{x∈R|x<1}と開集合{x∈R|x>1}の和(集合)だから開集合。


よって、A={1}は閉集合である。


(証明終)


 


 


さてさて、A={1}の集積点は存在しますか。


任意の正数ε>0に対して、


  


となるx∈{1}は存在しますか?


 


存在しないとすれば、冒頭に示した定理が揺らぐにゃ。


だって、{1}の集積点は存在しないのだから、{1}の集積点のすべてが{1}に含まれたりしないケロよ。


もちろん、{1)の集積点の集まりは空集合∅だから、


  


となるので、 「Aの集積点はすべてAに含まれる」が成立すると言えなくもないが、誤解を招く表現であり、読者に要らぬ混乱を招くので、こういう書き方は避けるべきだと思うにゃ。


 


ところで、


  


を集合と考えると、この集積点は0のみということになるが、Bを集合ではなく数列、点列と考えると、すこし事情が変わってくる。


 


定義1 (数列の集積点)


数列の部分列がaに収束するならば、このaを数列集積点accumulation point)という。


 


の部分列


  


1に収束するので、1はこの数列の集積点ということになる。


 


数列の場合、


  


と書き、普通、


  


とは書かないという文句が聞こえそうですが、このように書き表す流儀もあるんだにゃ。


 


たとえば、以下の英語のサイトを参照。


https://solitaryroad.com/c450.html


 


つまり、


問題 次の集積点を求めよ。


  


 


の答は、


これを集合(というか通常の位相)として考えれば、0であり、


数列(の集積点)と考えれば、0と1が答ということになる。


 


じゃぁ、数列


  


の集積点はどうなりますか。


なお、この集積点は定義1の意味だにゃ。