確率・統計の問題と解答例



問題


箱の中には、1NNは2以上)までの相異なる数字が書かれた玉がN個入っている。その箱の中から1つ取り出した玉に書かれている数字をXとし、取り出した玉を戻さず、さらにもう1つ取り出した玉に書かれている数字をYとする。


このとき、次の問に答えよ。


(1) Xの期待値(平均値)はいくらか。


(2) XYの期待値(平均値)はいくらか。


(3) 1回目に取り出した玉を箱に戻したあとに、さらに、2回目の玉を取り出すように変更したとする。1回目に取り出した球に書かれている数をX、2回目に取り出した書かれている数をYとしたとき、XYの期待値(平均値)はいくつになるか。


 


N=3の場合、


(1)


  


 


(2) 1回目にX、2回目にYが出た事象を(X,Y)で表すと、同様に確からしい根源事象は、つぎの4つになる。


 (1,2)(1,3)(2,1)(2,3)(3,1)(3,2)


したがって、期待値は


  


 


(3) 同様に確からしい根源事象は、次の6つになる。


 (1,1),(1,2),(1,3),(2,1),(2,2),(2,3),(3,1),(3,2),(3,3)


したがって、期待値は


  


 


Z=X+Yとおき、確率分布を作って解くならば、次のようになるだろう。


 


(2) Z=X+Yとすると、確率分布は


 






Z




3




4




5






確率p(Z)




1/3




1/3




1/3






 


したがって、X+Yの期待値は


  


 


(3) Z=X+Yとすると、その確率分布は


 






Z




2




3




4




5




6






確率p(Z)




1/9




2/9




3/9




2/9




1/9






 


したがって、X+Yの期待値は


  


 


どうやら取り出した球を戻そうが(復元抽出)、戻すまいが(非復元抽出)であろうが、取り出した2つの玉に書かれた数の和の期待値は同じになりそうだ。


 


N個の場合



 


したがって答は



 


 

追加問題1


箱に1、2、・・・、NN≧2)の数字が書かれたカードがそれぞれ1、2、・・・N枚入っているとする。このとき、次の問に答えよ。


(1) 箱に入っているカードは合計何枚か。


(2) 箱から1枚取り出したカードに書かれている数字がk1≦k≦N)である確率を求めよ。


(3) 箱から1枚取り出したカードに書かれている数字の期待値(平均値)を求めよ。


【解答例】


(1)


(2) kが書かれているカードはk枚あるので、確率は


  


(3) 期待値は


  


(解答例終)


 


追加問題2


2つの箱には1からnまでの通し番号を書いたカードが入っている。各箱から同時に1枚ずつカードを取り出し、番号を比較して小さくない方をXとするとき、次の問に答えよ。


(1) X=kである確率をnkで表わせ。ただし、kは整数で1≦k≦nとする。


(2) Xの期待値をnの式で表わせ。


【解答例】


(1) だから、


  


(2)


  


(解答例終)


 


(1)は、X=kになるのは、


  (k,1),(k,2),・・・,(k,k),(k−1,k),(k−2,k),・・・,(1,k)


2k−1通りだから、


 


としてもいいのでしょう。