超〜危険な定理の確認問題の解答例


 


定理 次の2つは同値である。


(1) 集合Fは閉集合である


(2) 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する。


 


 


確認問題1


A=(−1,1)とし、一般項が


  


である点列(数列)を考える。


すると、この点列の極限値は00∈A


定理よりAは閉集合となるが、A=(−1,1)は開集合となり、矛盾する。


これは、紹介した定理に反する。


どこがいけないのか、説明せよ。


【解答例】


「点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する」は、


であるすべての点列について、


 点列が収束するならば、その極限は集合Fに必ず属する


の意味であって、定理の適用を間違っているから。


一般項


  


で与えられる点列1に収束するが、


したがって、(−1,1)は閉集合でない。


(解答終)


 


 


確認問題2


  


さて、集合Mは閉集合か。閉集合であればその証明をし、閉集合でなければ、反例をあげよ。


  


集合Lは閉集合か。


【略解】


M内の点列


  


0に収束し、なので、Mは閉集合ではない。


Lは閉集合である。


(略解終)


 


 


発展問題


fを実数全体の集合R上の連続関数とする。このとき、集合


  


が閉集合であることを示せ。


【解答例】


Aが∅のとき、定義からAは閉集合。


つぎに、Aが空集合でない場合について考える。


とし、この数列の極限点をxとする。


fR上での連続関数なので、


  


よって、Aは閉集合である。


(解答終)


 


最も簡単な解答は、次の定理を用いる。


 


定理


fXからYへの連続写像であることの必要十分な条件は、Yの閉集合Ffによる逆像Xの閉集合であることである。


 


【別解】


{0}Rの閉集合。また、fR上の連続関数(連続写像)なので、fによる{0}の逆像


  


は閉集合。


(別解終)