物理的な定積分の問題(高校の数学)


 


過去(大昔)の大学入試に出題された、物理的な定積分の問題をいくつか紹介し、解くことにする。


 


問題1 x軸上を動く点Pがある。その測度は時刻tの関数として6(t²−3t+2)と表され、t=0における点Pの位置はx=1である。t=0からt=3の間に点Pが動いた道のりを求めよ。


【解】


速度をvとすると、


  


したがって、


 0≦t≦1のときv≧0


 1<t<2のときv<0


 2≦t≦3のときv≧0


よって、t=0からt=3の間の道のりs


  


(解答終)


 


t=aからt=bの間の道のりs


  


ここで、vは時刻tにおける速度なので注意が必要。


 


 


問題2 2つの動点PQが定点Oから同時に出発して定直線上を同じ方向に動き出すものとする。それらのt秒後の速度がそれぞれ7t(4−t)2t(3−t)(6−t)で与えられるとすれば、動き出したのちPQがはじめて出会うのは何秒後か。


【解】


PQt秒後の位置をそれぞれx₁x₂とすると、


  


Pと点Qが出会うということはx₁=x₂ということ。


したがって、


  


t>0の最小の時間なので、4/3秒後。


(解答終)


 


 


問題3 x軸上を動く点Pの時刻tにおける位置はxで、速度はで表される。Px=2からx=3まで動くのに要する時間を求めよ。


【解】


問題の条件より


 


  


x=2のときの時刻を0x=3の時刻をtとすると、


  


よって、23/6


(解答終)


 


次のように解いたほうがわかりやすいのかもしれない。


 


【別解】


  


(別解終)


 


このあたりは好みの問題で、自分にとってわかりやすい方を選択すれば良い。


 


 


問題4 点(1,0)を出発してx軸上の正の方向に動く点Pがある。点Pの速さが原点からの距離に反比例するとき(ただし比例定数はkとする)、出発してからt秒後の点Px座標x(t)を求めよ。


【解】


問題の条件より


  


よって、


  


t=0のとき、x=1なのでC=1


よって、


  


(解答終)


 


 


 


問題5 半直線OX、点Oのまわりを毎秒1ラジアンの角速度で回転している。OX上を運動する点Pが、時刻tにおいて点Oからcmの距離にあるという。時刻0秒から秒までの間に、点Pの動く道のりを求めよ。ただし、eは自然対数の底である。


 


【解】


時刻t=0におけるOXx軸の正の部分にとり、点Pの座標を(x,y)とすれば、


  


よって、


  


したがって、道のりs


  


(解答終)


 



 

類題 原点Oを始点とするベクトル


  


の終点Pの運動を考える。ただし、tは時刻を表す変数であり、eは自然対数の底である。t=0からt=2πまでPが動いた道のりを求めよ。


 


 


問題6 ベクトル


  


の終点Pの描く曲線とx軸とで囲まれる部分の面積と、t=0からt=2πまでPが動いた道のりを求めよ。ただし、a>0で、0≦x≦2πとする。


(答) 面積3a²π 道のり8a