対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する


 


問題 2次の正方行列


 


は相異なる固有値をαβα≠β)を持つ。


αに対する固有ベクトルをβに対する固有ベクトルをとするとき、は直交することを示せ。


 


【解】


とする。


問題の条件より、


  


したがって、


  


よって、は直交する。


ここで、


  


(解答終)


 


なお、


  


また、左上添字のtは転置行列をあらわす。


 


とするときをAの転置行列といい、が成り立つとき、対称行列という。


したがって、は対称行列。


そして、このことから、


対称行列Aが相異なる解αβをもつとき、αに対する固有ベクトルとβに対する固有ベクトルは互いに直交する


ことが証明された。


 


 


【ネムネコによる泥臭い解答】


(1) b=0のとき


Aの固有方程式は


  


問題の条件より、Aの固有値は相異なる2実根を持つので、a≠cである。


k=aのとき


  


よって、固有ベクトル


  


k=cのとの、


  


よって、固有ベクトル


  


したがって、は直交する。


  


(2) b≠0のとき


Aの固有方程式は



この相異なる2実根をαβとする。


k=αのとき


  


したがって、このときの固有ベクトル


  


 


同様に、k=βのとき、


  


よって、固有ベクトル


  


 


したがって、


  


よって、は直交する。


(解答終)


 


(※)


の固有方程式は


  


(1)の解をαβとすると、解と係数の関係より


  


 


 


ddt³さんの解答】


行列Aの特性多項式=0とおいたものは、


  λ^2(ac)λacb^20   (1)


だから、2次方程式の解と係数の関係より、


  αβac


  αβacb^2


 このαを固有ベクトルの定義に代入すると、固有ベクトルx(x₁x₂)について連立一次方程式、


  (aα)x1bx20


  bx1(cα)x20


が成り立たなければならない。ところがαβ(1)を満たすので、上記2式は定数倍を除いて同じ条件になる。そこで上段をとれば、


  x(baα)   (2)


とできる。固有ベクトルの長さは不定だから。


 同様に(1)を満たすβでも、固有ベクトルy(y₁y₂)について


  (aβ)x₁bx₂0


  bx₁(cβ)x₂0


なので今回は下段を取り、


  y((cβ)b)   (3)


をとれる。(2)(3)からxyの内積を取れば、


  xyb(cβ)b(aα)


b((cβ)(aα)


b((ac)β))


ですが、解と係数の関係より、


  αβac


従って、


  xy(ac)β)(ac)(ac)0


となり、xyは直交する。


(解答終)