第6回 偏微分係数


 


§1 偏微分係数


 


(a,b)の近傍で定義されている関数f(x,y)が極限


  


をもつとき、関数f(x,y)は点(a,b)xに関して偏微分可能であるといい、


  


を、点(a,b)におけるxに関する偏微分係数という。


同様に、極限


  


が存在するとき、、関数f(x,y)は点(a,b)yに関して偏微分可能であるといい、


  


を、点(a,b)におけるyに関する偏微分係数という。


 


例1


f(x,y)=x²+2xy+3y²とすると、点(a,b)におけるxに関する偏微分係数は、


  


yに関する偏微分係数は


  


と計算できる。


しかし、定義から偏微分係数を求めることはせず、次回に述べる偏導関数を求めて偏微分係数を求めるのが普通で簡単である。


 


問題1 次の関数f(x,y)は原点(0,0)で偏微分可能か。


  


【解】


(0,0)におけるxに関する偏微分係数は


  


また、


  


よって、


  


となり、極限


  


が存在せず、yに関する偏微分係数は存在しない。


 


 


§2 偏導関数


領域D上で定義された関数f(x,y)D上の全ての点で偏微分可能なとき、f(x,y)は偏微分可能であるという。また、


  


偏導関数という。


 


領域Dで定義された関数f(x,y)の偏導関数Dで連続であるとき、f(x,y)D級であるという。


 


 


問1 偏導関数の定義に従って、f(x,y)=x²+y²の偏導関数を求めよ。


【解】


  


(解答終了)


 


定義に従えば上のような計算になるが、xで偏微分するときyを定数、yで偏微分するときはxを定数として1変数の微分法を適用して計算すればよい。


 


問2 次の導関数を求めよ。



【解】


   


(解答終了)


 


問題2 次の関数の偏導関数を求めよ。


  


【解】


(x,y)≠(0,0)のとき


  


(x,y)=(0,0)のとき、


  


(解答終了)


 


f(x,y)(0,0)以外で連続であるが、f(x,y)の偏導関数は(x,y)∈R²で偏微分可能である。また、f(x,y)の導関数は(0,0)で連続ではない。


このことを確かめよ。