微分法を用いた不等式の証明


微分法を用いた不等式の証明は、例えば、f(x)>g(x)という不等式の場合、F(x)=f(x)−g(x)とし、微分法を用いてF(x)の増減を調べることが基本。


例 x²>2x−2を証明せよ。




このような問題があった場合、左辺と右辺の差をf(x)と置き、両辺をxで微分する。

  

よって、x=1のときf(x)は最小(極小)。

したがって、

  

である、ことが証明できる。

もっとも、この問題の場合、微分を使うまでもなく、

  

と証明することができる。

では、問題。


問題 x>0のとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。


【解】

(1)

  

とおく。

  

したがって、x>0f(x)は単調増加。

よって、

  

また、
  

したがって、g'(x)x>0で単調増加。

ゆえに、x>0

  

よって、g(x)x>0で単調増加。

  

①、②より、

  





(2)

  

とおく。

  

よって、f(x)x>0で単調増加

  

また、

  

よって、g(x)x>0で単調増加。

  

①と②より、

  




(解答終わり)
(1)、(2)ともに、マクローリン展開(テーラー展開)を
  

有限項で撃ち切ったもの。


そして、(2)の
  


  

から、

  

という不等式が出てくる。




また、(1)の

  

の各辺をx=0からx=tまで積分すると、

  

という不等式が得られる。



図から明らかように、各辺のすべての関数が偶関数なのだから、さらに次の不等式が得られる。


  


なお、この不等式を得るにあたって、定積分の次の定理を使っている。


定理 f(x)g(x)[a,b]で連続、かつ、f(x)≧g(x)であるならば、

  


f=gは、fgが同一の関数、つまり、x∈[a,b]のすべてのxに対してf(x)=g(x)である、ことをあらわしている。


宿題 x>0

  

であることを利用して、

  

であることを証明せよ。