斜方投射と到達距離


 


北朝鮮が、また、ロケット花火を打ち上げたので、極初歩的な弾道軌道の計算をしてみることにするにゃ。


地球は球形だけれど、問題を簡単化するために、地球は平ら、重力加速度gは一定と仮定する。


 


§1 放物運動 (空気抵抗がない場合)


 


時刻t=0で速さで地平線(x軸)となす角度θで、質量mの質点が投げ出されたとする。


このとき、(ニュートンの)運動方程式は次のようになる。


  


初期条件は


  


とおき、①の両辺をmで割ると、


  


t=0のときだから


  


これを積分すると


  


初期条件x(0)=0から


  


②の両辺をmで割ると


  


とおき、これを書き換えると


  


重力加速度gは定数だから、両辺を積分すると


  


初期条件より


    


さらに積分すると


  


初期条件y(0)=0より


  


したがって、


  


が解になる(高校の物理の公式)。


 


次に、質点の運動の軌道を求めることにする。


(3)より、


  


これを(4)式に代入すると


  


したがって、最高の高さH


  


到達距離L


  


0<θ<90°とすると、sin2θ=1になるのはθ=45°の時だから、最大到達距離


  


である。


 


もっと簡単に解けるけれど、高校の物理などとの兼ね合いで、こう解いてみたにゃ。


 


問 高校の物理らしく、最高の高さHと到達距離を求めよ。


【解】


v=0のときに、yは最大になる。


したがって、(2)より


  


これを(4)式に代入すると、


  


(4)式でy=0になるtの値を求めると、


  


したがって、


  


(解答終)


 


 


§2 空気抵抗がある場合


 


以上の議論は空気抵抗がない場合の話。空気抵抗が速度に比例する場合、運動方程式は次のようになる。


  


kは比例定数だケロ。


初期条件は空気抵抗がない場合と同一とする。


  


③の一般解は見た瞬間


  


とわかる。


初期条件はだから


  


これを積分すると


  


t=0のときx=0だから


  


 


④はじっと見ると


  


初期条件はだから


  


これを積分すると


  


t=0のときy=0だから


  


よって、


  


したがって、微分方程式の解は


  


 



 


 


(11)をtについて解き、それを(12)に代入すれば、軌道をy=f(x)という形で表すことができるけれど、形がオドロオドロなりすぎるにゃ。


 


 


問 変数分離で④を解け。


 


 


地平線(x軸)にぶつかれば跳ね返るけれど、跳ね返ることなくもし永遠に落下し続けるとすれば、終端速度は


  


そして、


  


 


ここで、お前らに問題。


 


問題1 t≧0とするとき、(12)式で与え与えられるyの最大値Hを求めよ。


【ヒント】


yが最大になるとき、


 


到達距離Lを求めようと無謀なことは考えないほうがいいにゃ。


だって、


    


の解を求める必要があるからだにゃ。


まぁ、t=0という自明な解はすぐに求まるが・・・。


 


 


問題2 km/t>0が1に対して非常に小さいとき、空気抵抗がない時の解(1)〜(4)は、空気抵抗を考慮した解(9)〜(12)の近似になるはずである。


このとことを示せ。


  


 


  


 


【ヒント】


  




さらに、もう一曲♪




ところで、ネムネコは微分方程式


  


を次元(物理単位)をもつまんま解いたけれど、この微分方程式は何らかの方法で無次元化して解くべきだね。


たとえば、無次元化された速度


  


は無次元化された時間


  


を導入する。


すると、(無次元化された)微分方程式は次のようになるのかな。


  


ここで、γは無次元化された重力加速度で


  


こうすれば、「メートル」、「フィート」や、「キログラム」、「ポンド」といった単位によらないより普遍的な方程式になり、微分方程式を解くのも楽になる。


こうすると、初期条件は


  


 


ネムネコが考えるに、


ddt³さんが、きっと、こういった話をしてくれるに違いない。


さらに、初期値問題⑨を解くスプレッドシートを作ってくれるに違いない(^^