比率の推定 確率・統計


 


母集団から標本をn個抽出し、賛成・反対や良品・不良品などの比率の推定について、工場製品に占める良品の比率を例に考える。


 


母集団から無作為に取り出した標本の数がnで良品x個、良品の比率をpとすると、n個の中に良品がx個含まれている確率は


 


であり、この確率分布は二項分布B(n,p)になる。


nが大きいとき、これは


 


の正規分布と考えてよい。


したがって、


 


の分布は正規分布N(0,1)だから、


信頼度95%で、


 


この両辺をnで割ると、


 


 


同様に、信頼度99%で


 


 


 


問題1 全製品中から400個を任意に抽出したところ、280個が良品であることがわかった。全製品に占める良品の割合を信頼度95%で推定せよ。


【解答】


全製品の良品の割合をpとすると、各標本について良品の占める割合はpだから、n個の標本中x個が良品である確率は


 


となり、平均np、標準偏差の2項分布になる。


n=400と大きいので、これは正規分布とみなすことができて、(1)より、信頼度95%で


 


n=400x=280だから、これを上式に代入すると


 


p0.7に近いと考えられるので、p=0.7として右辺に代入すると、


 


よって、信頼度95%で


 


(解答終)


 


もちろん、①式の右辺にp=0.7を代入せず、不等式①の両辺を2乗して、不等式


 


を解き、pの解を求めても好い。


すると、


 


くらいになる。


 


次に世論調査などで必要になるサンプル数の個数について考える。


標本の数をn、賛成者の数をx、母集団の賛成者の割合をpとする。


信頼度95%で誤差0.03とすると、(1)より


 


となるように標本数nを定めればよい。


したがって、


 


この場合、p0≦p≦1の値を取りうるので、


 


の最大値を求めると、


 


となるので、(3)の左辺にp=1/2を代入すると、


 


となる。


したがって、約1000人調査すれば、信頼度95%で誤差0.03、すなわち、誤差3%で賛成者の割合を求めることができる。


 


 

問題2 ある意見に対する賛成者の比率は30%前後であると予想される。賛成者の真の比率を3%以下の誤差で推定するには、何人≧について調べればよいか。信頼度を95%以上と信頼度99%以上の場合について求めよ。


【解答】


回答者の数をn、その内の賛成者の数をxとする。


95%のとき、


 


99%のとき、


 


したがって、信頼度95%のときは



となるようにnをとればよい。


p=0.3とすると


 


 


信頼度99%のときは


 


p=0.3として代入すると


 


したがって、


信頼度95%のときは約900人


信頼度99%のときは約1600人


(解答終)