標本の推定と検定の補充問題


 


 


問題1 A君のいるクラスのものの英語と国語の成績を調べたところ、右表のとおりであった。この試験でA君の成績は英語82点、国語91点であった。クラスの中の成績の順位からいえば、A君は英語と国語のどちらが順位が上と考えられるか。


【解】


  


の大小で判断すれば良い。ここで、xは得点、mは平均点、σは標準偏差である。


英語の場合、


  


国語の場合、


  


したがって、国語の順位が上である。


(解答終)


 


正規分布を仮定すると、


    


したがって、A君の英語の順位は100人中13番目、国語の順位は5番目くらいと考えられる。


 



 


 


 


 


 


問題2 ある学年の生徒数は700人で、先日行われた数学の学力テストの平均点は46点、標準偏差は5点であった。次の問に答えよ。


(1) 41点から51点までのものは、最低何人いると考えられるか。


(2) 26点から66点までのものは、何人より多いと考えてよいか。


【解】


チェビショフの定理(不等式)より、なる区間にいるものの数l


  


 


(1) これはk=1の場合なので、


   


よって、0人以上


 


(2) これはk=3の場合なので、


  


よって、652人以上


(解答終)


 


 


(1)は、ほとんど意味のない情報(笑)。


 


なお、正規分布を仮定すれば、


(1)はz=1の場合なので、


  


から約477人。


 


(2)はz=4の場合なので、


  


よって、700人。


 


66点は偏差値90,26点は偏差値10だから、700人全員がこの範囲に収まってしまう。


ネムネコが考えるに、この数学のテストの大問が5題であったとすれば、大問2題は誰でも解けてしまう簡単な問題で、残りの3つの問題はあまりに難しくて、ほとんど全ての生徒は手も足も出せないダルマさん状態になってしまっていたと考えられ(笑)。


 


 


 


問題3 事象Aが起こる確率が0.05以下のとき、Aが起こることは「めずらしい」ということにする。男子の出生率が0.5のとき、6人のうち5人以上の男子が生まれることは珍しいといえるか。


【解】


6人のうち5人以上の男子が生まれる確率は、


  


なので、「めずらしい」とは言えない。


(解答終)


 


類題 ある風邪薬の新薬のきく確率は0.8だといわれている。これを8人の患者に飲ませたとき7人以上の患者に聞くことは「めずらしい」といえるか。


【略解】


  


よって、「めずらしい」と言えない。


(略解終)


 


 


母平均の推定


 


1つの標本の分布から母平均の平均を推定するには、


n個の標本を任意抽出し、その平均、標準偏差σ、母集団の平均をmとすれば、


(1) と推定する信頼度は95%


(2) と推定する信頼度は99%


 


 


問題4 ある高校3年生の男子250人の平均身長は165.4cm、標準偏差は5.6cmであった。この男子生徒の身長を95%の信頼度で推定せよ。


【解】


  


よって、


  


よって、95%の信頼度で165.4±0.70cm


 


問題5 1つの貨幣を10回投げて表が出る実験を8回行った。その結果は次のとおりであった。


  4, 5, 3, 5, 6, 4, 6, 5


(1) 表が出た回数の平均値と標準偏差を求めよ。


(2) (1)をもとに、信頼度95%で表の出る真の確率を推定せよ。


【解】


(1) 表が出る平均回数をm、標準偏差をσとすると、


  


 


(2) 標本の表の出る平均確率は0.475、標本の数n=8、標準偏差σ=0.0968だから、信頼度95%の信頼度では


  


よって、


  


(解答終)


 


 


問題5


(1) ある円板の直径を10回測ったら、次の値(単位mm)を得た。真の直径を95%の信頼度で推定せよ。


10.3, 10.1, 9.9, 10.2, 9.9, 10.2, 10.1, 9.9, 10.1, 10.2


(2) この円板の直径を95%の信頼度で、しかも0.01mmの精度で求めるには、何回測定しなければならないか。


【解】


 


(1) 標本の平均を、真の直径をmとする。


  


標準偏差σ


  


したがって、


  


よって、


  


 


(2) 信頼度95%なので


  


となるようにnを定めれば良い。


よって、


  


したがって、830回。


(解答終)


 


(1)の答は、10.1±0.1としたほうがいいのかもしれない。という数字に意味があるかどうか微妙だから。


であるとすれば、


  


なので、標準偏差σ=0.14がいいのかもしれない。


だとすれば、(2)の答えは、


  


となり、784回となる。


 


どこで小数点何位で四捨五入をするかによって計算結果がこうも劇的に異なるのかと驚くネムネコであった。


 


 


問題6 の値が2以下ならば優位水準5%としての事象の成立は正しいとし、2より大きければその事象の成立は棄却される。


いま25人1組に新しい教育方法で数学を教えたら、1年間の平均成績が84点であった。いままでの教育方法では平均82点で標準偏差は4である。新しい教育方法は効果があったといえるか。


【解】


「新しい教育方法は効果がない」と仮定する。


新しい教育方法での平均点m=82σ=4とすると、


  


となり、この仮説は棄却される。


よって、新しい教育法は効果があった。


(解答終)


 


 


問題7 ある大学では1年生に対して毎年同じテストを行っている。昨年度の1年生の成績は平均点64.5、分散20の正規分布に従っていた。今年度の1年生にも同じテストを行い、無作為に8人を抽出しところ点数は次のとおりであった。


66, 73, 55, 69, 70, 67, 62, 71


今年度の1年生の平均点は昨年度よりも高いか有意95%で検定せよ。ただし、今年度の分散は昨年度と同一であるとする。


【解】


昨年と変わらないと仮定する。


  


なので、


  


よって、この仮説は棄却されない。


したがって、平均点は昨年度より高くないと考えられる。


(解答終)


 


 


問題8 ある工場の経験によると7mmボルトの規格の製品の寸法はほぼ正規分布をしており、標準偏差は0.20mmであるという。ある日の製品から16個のボルトを無作為抽出したところ、その寸法の平均が7.09mmであった。この日の寸法の平均は規格から外れているか。優位水準0.05で検定せよ。また、この日の寸法の寸法の平均μを95%信頼区間を求めよ。


【解】


この日の標本平均をとすると、


  


よって、この日の寸法の平均は規格から外れていない。


また、95%の信頼区間は、


  


(解答終)