ワンポイントゼミ 行列の対角化


 


2次の正方行列の相異なる固有値をαβ、そして、αβに対応する固有ベクトルをとする。


固有値と固有ベクトルの定義より、


  


これを1つの行列であらわすと、


  


となる。


は相異なるαβに対応する固有ベクトルなので、互いに一次独立である。


したがって、


  


とおくと、行列Pの行列式|P|≠0であり、Pは逆行列P⁻¹をもつ。


よって、


  


つまり、


  


このように行列の固有ベクトルを用いて、対角行列を作ることを行列の対角化という。


 


2次の正方行列について述べたが、An次の正方行列とし、その相異なるn個の固有値を、これに対応する固有ベクトルをとし、


  


とすると、


  


と、行列の対角化を行うことができる。


 


また、(1)より、


  


同様にして、


  


が成り立ち、


  


(5)式を用いて、を求めることができる。


 


を求めるだけならば、


  


同様に、


  


したがって、


  


とした方がスッキリしていますが・・・。


 


問題 とするとき、次の問に答えよ。


(1) Aの固有値、固有ベクトルを求めよ。


(2) を求めよ。


(3) 次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めよ。


  


【解】


(1) Aの固有方程式は


  


k=1に対応する固有ベクトルは


  


k=5に対応する固有ベクトルは


  


 


(2) とおくと、


  


よって、


  


 


(3) この漸化式は行列を用いると、


  


と表すことができる。


したがって、


  


よって、


  


である。


(解答終)


 


行列を用いれば、(3)の連立漸化式の一般項も求められるという話。