無限遠点でのローラン展開


 


§1 無限遠点でのローラン展開


関数f(z)においてz=1/ζとおいて得られるζの関数を



とし、φ(ζ)ζ=0において得られる状態をf(z)z=∞(無限遠点)における状態と定義することにする。


 


問1 の無限遠点∞における状態を調べよ。


【解】


とおくと、


  


となり、ζ=0φ(ζ)の2位の極となるから、z=∞f(z)の2位の極である。


とおくと、


  


したがって、


  


よって、ζ=0φ(ζ)の真性特異点だから、z=∞の真性特異点。


(解答終)


 


無限遠点∞がf(z)の孤立特異点であるとする。このとき、十分大きなR>0を選ぶと、f(z)は正則になる。したがって、無限遠点∞の定義より


  


で正則である。


よって、φ(ζ)ζ=0のまわりで


  


ただし、Cζ=0を中心とするの円である。


φ(ζ)=f(z)だから、m=−nとおいて、


  
という展開式が得られる。


(1)を∞まわりのローラン展開という。


 


問2 関数のすべての特異点を求めよ。また、その各々を中心とするローラン展開を求めよ。


【解】


とする。


z=1は1位の極で、z=1まわりのローラン展開は


  


z=1/ζとおくと


  


となり、ζ=0φ(ζ)の1位の極だから、z=∞f(z)の1位の極。


z<1のとき


  


だから、


  


また、|z>1のとき


  


だから、


  


よって、z=∞まわりのローラン展開は


  


(解答終)


 


§2 無限遠点での留数原理


無限遠点∞がf(z)が孤立特異点または正則点であるとき、f(z)は∞まわりでローラン展開が可能である。すなわち、



この展開におけるの係数の符号を変えたもの、すなわち、を∞におけるf(z)の留数といい、などであらわす。


したがって、


  


ここで、Γは有限のところにあるf(z)の内部にある特異点をすべてふくむ閉曲線である。


留数定理と(3)より、ただちに、次の定理が得られる。


 


定理1


f(z)が無限遠点を含めた全平面でただだか有限個の特異点しか持たないとき、有限のところにあるすべての特異点をとすれば、


  


 


また、留数の定義より


 


定理2


が有限確定であれば、


  


 


問3 つぎの値を求めよ。


  


【解】


  


また、定理2より


  


の零点をとすると、定理1より


  


(解答終)