複素関数の極限の補充問題


 


独立変数z、従属変数wがともに複素数である関数w=f(z)を複素関数という。z=x+iyw=u+ivとすれば、


  


となり、uvは2変数xyの関数になる。このことをu=u(x,y)v=v(x,y)と書くことにする。


 


複素関数の極限


任意のε>0に対して、適当なδ>0を選ぶと、


  


が成り立つとき、zz₀に近づくときf(z)は極限値αに収束するといい、


  


とかく。


z=x+iyとすると、だから、


  


したがって、とすると、


  


また、無限遠点∞を含む極限は次のように定義する。


  


 


問題1 つぎの極限値を求めよ。



【解】


(1) z=x+iyとすると、。(半)直線y=mxにそってzを原点Oに近づくものとする。


x≠0のとき、


  


となり、直線の傾きmによって値が変わる。


よって、は存在しない。


 


(2) だから、


  


 


(3)


  


(解答終)


 


実関数の極限は、


  


となるので、この極限は存在しないけれど、複素関数の次の極限


  


で、無限遠点∞がこの極限になるので注意が必要。


また、(3)の極限を求めるときは、正式には上のように解かないといけない。


大学の定期試験で、実数の極限と同じように


  


と解くと、先生に、減点されたり、✕をつけられるのかもしれないので注意。


実数の極限に持ち込みたいのならば、


たとえば、


  


したがって、|z=Rが十分に大きいとき、


  


などとすればいいケロ。


 


問題2 次の極限を求めよ。



【解】


z=x+iyとすると、Re(z)=xIm(z)=y


(1) 直線y=mxにそって原点に近づけると、


  


直選の傾きによってこの極限は変わるので、この極限は存在しない。


 


(別解)


x=rcosθy=rsinθとすると、


  


θの値によってこの極限は変化するので、この極限は存在しない。



 


(2)は略。この手の極限は、大体、存在しないことになっている(^^


(解答終)


 


 


問題3 次の極限を求めよ。


  


【略解】


z=x+iyとおくと、


例によって、y=mxx>0)にそって原点に近づけると、


  


よって、極限は存在しない。


 


【別解】


とおくと、


  


よって、極限値は存在しない。


(解答終)


 


この手の極限は、大体、存在しない(^^)


 


 


宿題 次の極限を求めよ。



(ヒント)


(2)は


  


と絶対値をとって、この極限で議論すればよい。