スカラー関数の勾配


 


関数φ(x,y)級であればf(x,y)は全微分可能で


  


あるいは、ΔxΔydxdyに置き換え


  


で表される。


このとき、ベクトルを関数φの勾配(gradient)といい、記号


  


などであらわす。すなわち、


  


である。


したがって、


  


とすると、全微分は、ベクトルの内積を用いて


  


とあらわすことができる。


 


φ(x,y)=c(一定)とすれば、φ(x,y)=cは1つの曲線をあらわす。この曲線上の点P(x₀,y₀)における全微分は


  


であり、これは点Pにおける曲線φ(x,y)=cの接線の方程式である。


したがって、


   


とおけば、曲線φ(x,y)=cの点P(x₀,y₀)における接線の方程式は


  


となり、これは∇φが曲線φ(x,y)=cと直交していることを表している。つまり、∇φは曲線φ(x,y)=cの法線ベクトルである。


 


この議論は、そのまま、2次元から3次元へ拡張することができ、級の関数φ(x,y,z)に対して、φの勾配を


  


を定義する。


そして、


  


をハミルトン演算子といい、記号(微分演算子)∇をナブラと読む。


曲面φ(x,y,z)=cの点P(x₀,y₀,z₀)における接平面の方程式は


      
であり、∇φは曲面φ(x,y,z)=cと直交する。そして、∇φはこの曲面の法線ベクトルである。


 


特に、z=f(x,y)のとき、φ=f(x,y)–z だから、


  


曲面z=f(x,y)の点P(x₀,y₀,z₀)における接平面の方程式は、


    


である。


 


問 z=x²+xy+2y²の点(1,1,4)における接平面の方程式を求めよ。


【解】


だから、


  


よって、


  


(解答終)


 


なにか冗漫でスッキリしないな。次のように書くべきか。


 


曲面φ(x,y,z)=cがある。曲面上の点P(x,y,z)を通る曲面上の曲線x=x(t)y=y(t)z=z(t)を考えると、φtの関数である。そこで、tを微分すれば、


  


である。とすると、


  


で、これは曲面φ(x,y,z)=cの接線ベクトルである。


したがって、


  


よって、∇φは曲面φ(x,y,z)=cと直交し、∇φはこの曲面の法線ベクトルである。


 


 


問題1 ux,y,zの関数で、uの関数をf(u)とすれば、


  


であることを示せ。


【解】


  


(解答終)


 


 


問題2 原点に対する位置ベクトルをrとし、r=r|とすれば、


  


であることを示せ。


【解】


(ⅰ) だから、


  


同様に、


  


したがって、


  


 


 


(ⅱ)


  


同様に、


   


よって、




(別解)


f(r)=1/rとおけば、問題1より


  


(解答終)


 


 


問題3 スカラー関数u(x,y,z)v(x,y,z)の関数をF(u,v)とするとき、次の式を示せ。


  


【解】


  


(解答終)