第19回 陰関数の極値


 


(x₀,y₀)を含む領域Df(x,y)級であるとする。陰関数定理より、ならば、x₀の近傍でf(x,y)=0で定める級の陰関数y=φ(x)がただ一つ存在し、


  


である。


(1)式をさらにxで微分すると、


  


ここで、


  


したがって、f(x,y)Dならば、


  


である。


 


 


問題1 関係式x²–2xy–y²=1で定まる陰関数についてを求めよ。


【解】


f(x,y)=x²–2xy–y²–1とおくと、 だから、


  


だから


  


(解答終)


 


【別解】


x²−2xy−y²=1xで微分すると、


  


これをxで微分すると、


  


となるので、これに


  


を代入すると、


  


(別解終)


 


 


次に、f(x,y)級とし、f(x,y)=0で定まる級の関数y=φ(x)の極値について考えることにする。


y=φ(x)x=x₀で極値を取るとすると、陰関数定理より


  


また、y=φ(x₀)で極値をとるためには、


  


したがって、(2)式より、x=x₀におけるd²y/dx²の値は


  


となる。


よって、


  


のときy=φ(x₀)は極小となり、


  


のときに極大となる。


 


以上のことをまとめると、次の定理になる。



 


定理19


f(x,y)級の関数とし、y=φ(x)f(x,y)=0の定める陰関数とする。


φx=x₀で極値y₀=φ(x₀)を取るならば、


  


で、


のときy₀は極大値で、のときy₀は極小値である。


 


 


問題2 3x²+2xy+2y²=15の定める陰関数yの極値を求めよ。


【解】


とおくと、


  


3x²+2xy+2y²–15 =0に代入すると、


  


だから


  


(x,y)=(−1,3)のとき


  


(x,y)=(1,−3)のとき


  


よって、


yは、x=−1のとき極大値3x=1のとき極小値3をとる。


(解答終)


 


この程度の問題ならば、3x²+2xy+2y²=15xに関する2次方程式と考え、2次方程式の判別式を使って解くこともできる。


 


【別解】


xに関する2次方程式3x²+2yx+2y²–15=0は実根を持たなければならないので、その判別式をDとすると、


  


y=−3のとき


  


同様に、y=3のときx=−1


したがって、yは、x=−1のとき極大値3x=1のとき極小値1を取る。


(別解終)


 


 


宿題 3x²+2xy+2y²=15で定まる陰関数yの極値を、1変数関数の微分を用いて求めよ。


 


この問題を自分で解くと、紹介した定理の有り難みがよく分かる!!