第58回 留数定理の定積分への応用 問題編3


タイプⅢ 

f(z)は複素平面の上半平面Imz≧0で有限個の極を除いて正則であり、またはとする。

このとき、

  

f(x)が偶関数のとき

  

f(x)が奇関数のとき

  

問題1 次の定積分を求めよ。

  

【解】

  

とおくと、f(z)は偶関数、

  

で、上半平面にもつ極は1位の極z=iaのみ。

留数を求めると、

  

したがって、(2)より

  

(解答終了)

この問題は、上の公式を使わずとも、次のように計算することができる。


【別解】

  

とおく。

  

だから
  

だから、

  

右の図の積分路に沿って積分をすると、積分経路内にある極はz=iaだから、留数は

  

したがって留数定理より

  

また

  
だから、

  

(別解終)


問題2 a>0b>0のとき、次の定積分の値を求めよ。

  


【解】

(1)

  

とおくと、f(z)は奇関数で、上半平面に1位の極z=iaをもつ。

また、

  

留数を求めると、

  

したがって、(3)より

  


(2)

  

とおくと、これは奇関数。

また上半平面に2位の極z=iaをもち

  

したがって、留数は
  

(3)式より

  

(解答終了)