第21回 ラグランジェの未定乗数法


たとえば、x+y=1のとき、

  

の最小値を求めよという問題があるとするにゃ。

これやy=1–xとyを消去すれば、
  

となるので、x=(y=)1/2のときに最小で、最小値は1/2となることがわかるにゃ。

微分を使って、
  

などから、最小値を求めてもいいにゃ。

だけど、
のとき、の最小値を求めよ

というような問題だと、xやyを消去してというわけにはちょっといかない。


しかし、ラグランジェの未定乗数法という方法を使うと、こうした制限付きの極値問題や、最大値・最小値の問題を解ける場合がある。

だから、ねこ騙し数学においても、ラグランジュの未定乗数法をやろうじゃないか、という訳だにゃ。


仮にφ(x,y)=0という制限がついていたとするにゃ。φ(x,y)級で、ならば、陰関数定理より、φ(x,y)=0で定まる陰関数y=ψ(x)が存在するにゃ。

だとすれば、
  

となり、これをxで微分すれば

  

で、陰関数定理から

  

となるから、

  

となるにゃ。

で、g(x)x=aで極値をとるとするとg'(a)=0なので、b=ψ(a)とすると、

で、

  

とすると、

  

さらに、ならば、

  

となり、

  

も成立するにゃ。

  

が成立するのは、(A)より

  

となり、なので、

  

で、

  

でもある。

未知数はa、b、λの3つ、方程式は①、②、③の3本だから解けるはずだ、というわけだケロ。

本当に、このラグランジュの未定乗数法で解けるか、最初の例でやってみるにゃ。

  

とするにゃ。

で、

  
として、これをxyでそれぞれ偏微分すると、

  

となるにゃ。

この上の式を下の式で引けば、x=yになるので、x+y–1=0と合わせれば、x=y=1/2となり、このことから、f(x,y)の極値(?)が

  
という訳だにゃ。



問題1 のとき、x+yの最大値と最小値を求めよ。
【解】

  
として、ラグランジュの未定乗数法を用いる。
  

よって、

  

これを

  

に代入すれば、λは出てくるけれど、欲しいのはλじゃなくて(x,y)だから、x=yを使えば

  

となり、このことから

  

となり、x+yの最大値が√2、最小値が−√2であることがわかるにゃ。



問題2  のとき、の最大値、最小値を求めよ。
【解】

  

とするにゃ。

  

このことから、

  

そして、

  

④、⑤、⑥の連立方程式を解けばいいんだけれど、これは問題1の時と違ってちょっと厄介なんだケロ。

④から
  
これを⑤に代入すると、
  

この両辺に−2をかけて整理すると、

  

になる。

で、
  

ならば、これで両辺を割ることが出来て、x=0となり、そして、y=0となるにや。

でも、これは⑥式を満たさないから、
  

でなければならない。
で、このλに関する②次方程式を解けば

  

となるにゃ。

で、λ=−1を④に代入すると、
  

これを⑥式に代入すると、

  

λ=−5を④式に代入すると

  

これを⑥式に代入すれば、

  

となる。
この4つを

  

に代入すれば最大と最小値は出てくるにゃ。

最大値は20、最小値は4になるはずだにゃ。

  
の時が最大で20、

  

の時が最小で4になるはずだにゃ。

線形代数なんかを知っている人は、④と⑥の連立方程式を解く時、これが(x,y)=(0,0)の時

  
でなければならない、とするとオシャレにゃ。