第20回 陰関数の微分

前回、f(x,y)=0によって定められるy=φ(x)の微分が

  

になるということをやりましたにゃ。


これをさらにxで微分するとどうなるか、これをやってみるにゃ。

  

とすると、

  

だから、

  

それで、

  

になるので、

uvu'v'を①に代入して、真面目に計算すると、

  
となるにゃ。


こんな式を覚える必要はないにゃ。


ただ、これを使うと、f(x,y)=0によって定められる陰関数y=φ(x)の極値の判定が便利になるにゃ。
というのは、極値になる点ではy'=0となるので、

  
よって、極値のところで、⑨は

  

になる。


だから、②式を使って陰関数y=φ(x)の極値の判定ができるというわけだにゃ。


 

ということで、これを定理とするにゃ。


定理
関数f(x,y)tとする。このとき、f(x,y)=0で定まるy=φ(x)x=aで極値b=φ(a)をとるならば、

  

さらに、

  
である。

これを使って前回の問題を解いてみるにゃ。


問題1

で定められる陰関数の極値を求めよ。


【解】
極値のところではf_x(x,y)=0にならなければならないので、

  

これと、

  

より、

  
になる。

で、極値なる点では

  

だから、

  

となり、x=1/√3のところでは極小。

  

x=−1/√3のところでは極大。

よって、

  
となる。

前回の解答より計算量が減っていて、楽になっているんじゃないケロか。


これはf(x,y)の極値の問題ではないので、

から停留点を求めてはいけないにゃ。
今、やっているのは、f(x,y)=0で定まるy=φ(x)の極値を求める問題なので、混同をしないで欲しいにゃ。


問題2
  

から定まるy=φ(x)の極値を求めよ。

【解】

これはさすがにy=ホニャララの形に表すことは難しいにゃ。
―――3次方程式には解の公式があるので、出来ないことはないが・・・―――
  

として、

  

から停留点を、まず、求めるにゃ。

  

また、

  

なので、x=0を代入して、上の方程式を解くと、

  

になり、停留点は(x,y)=(0,0),(0,1),(0,−1)になるケロ。
で、

  

よって、

  

となり、

x=0y=0のとき、極小値で、x=0y=1x=0y=−1のとき極大値となる。

 


「ちょっと待った、⑨ネコ。この陰関数はx=0のところで、3つも値があるじゃないか。しかも、x=0のところで極大値と極小値を持ち、極大値の一つは−1で極小値の0より小さいじゃないか!! おかしいんじゃないか!!」


「だ・か・ら、前回、『これは厳密なことを言ったら関数じゃない』って言ったにゃ。陰関数というのは、結構、胡散臭いところがあるんだケロ。」