第19回 陰関数と陰関数定理


例えば、

  

という関数があるとするケロ。

で、f(x,y)=0のとき、

  

というふうにy=φ(x)と表すことができるにゃ。


また、

  

ならば、

  

と、やはり、y=φ(x)というふうに、yをxの関数として表すことができる。

 ―――厳密なことを言うと、①は関数ではないけれど・・・―――

こういう関数φ(x)を、f(x,y)=0で定まる陰関数と呼ぶケロ。

定義
f(x,y)=0に対して、関数y=φ(x)f(x,φ(x))=0を満たす時、y=φ(x)f(x,y)=0で定まる陰関数と呼ぶ。


で、f(x,y)級で、y=φ(x)微分可能ならば、合成関数の微分の公式から、f(x,φ(x))=0xで微分すると

  

となり、

  

のとき、

  

となる。

ただし、陰関数の微分dy/dxを求めるとき、必ずしも⑨四季を使う必要はないにゃ。
例えば、

  

の時は、yxの関数と考えて、1変数の微分をすればいい。

  

と計算すればよい。

ちなみに、
  

ね。


⑨式を使うならば、

  

となるにゃ。

で、①は関数じゃないと言ったにゃ。①の定義域は−1≦x≦1だケロ。x=±1の時以外、yは二つの値を持つケロ。例えば、x=1/2のとき、y=±√3/2だにゃ。関数というのは、xの値に対して1つの値しか持ってはいけないのに、2つの値を持っているので、

  

は関数じゃないんだケロ。

 ―――ねこ騙し数学では、複数の値を持つ多価関数を関数と認めていない―――

  


  

は関数なんだけれどね。

で、証明はしないけれど、陰関数定理を紹介するにゃ。


陰関数定理

関数f(x,y)が点(a,b)の近傍で級であり、
  

ならば、aを含む開区間I上の級関数φ(x)
  
を満たすものがただ一つ存在する。


紹介しただけにゃ。この定理の証明は、結構、面倒なんだにゃ。だから、この条件を満たす時、陰関数が存在するということだけを知っておいて欲しいんだにゃ。


この陰関数定理は、後で使うんで・・・。


問題 次の関数の定める陰関数y=y(x)の極値を求めよ。
  
【解】
y
xの関数と考えて、xで微分する。

  

x+2y≠0のとき、

  

極値をとるところではy'=0なので

  
y=−2xに代入すると、
  
で、極値の判定をするためにy''を求めたいにゃ。②式をxで微分すると、

  

極値のところではy'=0なので、

  
になるにゃ。

ということで、に対するy''の値は
  

となり、

  


もちろん、

  
yについて解いて、すなわち、
  
として、xで微分して、極値を求めてもいいにゃ。
計算力のある人は、これを微分して同じ答になることを確かめて欲しいケロ。