微分方程式のよもやま話20 微分演算子法
次の微分方程式がある。
(1)の両辺に
右辺第2項の積分は、
b≠aのとき、
b=aのとき
となる。
したがって、(1)の微分方程式の一般解は
になる。
(3)の右辺第2項の積分の部分は、公式
を用いて、次のように計算することもできる。
a≠bのとき、
a=bのとき、
微分演算子法を用いると、(3)の右辺第2項の積分をすることなく、代数的に解くことができる。
とはいえ、こうした計算ができるのはf(x)が指数関数のとき。f(x)が多項式関数の場合、こうした計算は許されない。
問1 次の微分方程式を解け。
【解法1(初等的解法)】
微分方程式の両辺に
(解答終)
【解法2(微分演算子法)】
補助微分方程式は
の一般解(余関数)は
微分方程式の特殊解をy₀とすると、
よって、微分方程式の一般解は
(解答終)
(※)
問1はf(x)=xと簡単だから、積分したところでたいして難しくないけれど、f(x)=x²+x+1となったら、この積分は結構面倒くさい。なんとか、この積分の計算をせずにすむ方法はないものかと考えるのは人情だケロ。
そうした要望に答える方法が存在するのであった。
まず、
とテーラー展開(マクローリン展開)するにゃ。
すると、
さらに、
と、積分を一切することなく、
の値(関数か?)を求めることができるのであった。
すごいと思わないケロか?
問2 次の微分方程式を解け。
【解】
右辺を0とおいた補助微分方程式
の一般解(余関数)は
特殊解をy₀とすると
よって、
(解答終)
あるいは、
などと計算する。
演算子法を用いた解法(特殊解の発見法)の計算が楽か(正確にいえば、答案の形式に書くことが楽か)といえば大いに疑問だけれど、積分することなく、特殊解を見つけることができる。
これらのテーラー展開(マクローリン展開)には
を用いていることは言うまでもない。