第20回 順序型


 


を順序集合とする。全単射が存在し、fおよびf⁻¹がともに順序を保つ写像であるとき、とは順序同型といい、


  


であらわし、f順序同型写像という。


 


濃度の場合と同様に、順序集合全体のクラスをによって類別し、各同値類にラベルをつけることができる。順序集合(A,≦)に付けられたラベルを順序型といい、記号や単になどで表す。


すると、


  


が成り立つ。


 


有限濃度nをもつ集合ABにそれぞれの順序を与えて、順序集合を作ると、これらはつねに順序同型である。


何故ならば、ABの元は


  


と並べることができる。


  


とするとφは順序同型写像である。


したがって


  


これより、有限濃度nの集合から得られる順序集合の順序型はただ1つしか存在しない。


一般に、濃度αの任意の集合Aから作られる任意の順序集合(A,≦)の順序型をα−順序型というが、上で述べたことより、n−順序型は1つしかない。


しかし、αが無限濃度の場合、α−順序型は1つとは限らない。


たとえば、


  


は同型ではないから、は、相異なる−型順序である。


自然数全体の集合Nの順序型をω、整数全体の集合Q、有理数全体の集合Qと実数全体の集合Rの順序型をそれぞれγηλで表すことがある。


 


問1 ABかつならば、となるようなB上の順序があることを示せ。


【解】


ABだから、BからAへの全単射(1対1対応)φが存在する。


Bの任意の元xyに対してのときとおくと、B上の順序で、φからへの順序同型写像となる。


よって、


  


である。


(解答終)


 


問2 であってもとなることがある。そのような例を1つあげよ。


【解】


  


とすると、


  


しかし、


  


(解答終)