第22回 数列の極限と関数の極限の融合


 


数列aに収束するとは、任意のε>0に対して、ある正の整数mが存在し、


  


である。


関数f(x)x→aのときbに収束するとは、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して


  


であることである。


 


この数列の極限と関数の極限を結びつける次の定理を紹介する。


 


定理


である必要十分な条件は、aに収束する任意の数列に対してとなることである。


【証明】


必要)


だから、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して、


  


である。


また、だから、ある正の整数mがあって


  


である。


よって、


  


十分)


  


を否定すると、


  


となるxが存在する。


特に、δ=1/n>0にとると、


  


となるが存在する。


このとき得られたに対しては、であるが、が成り立たない。


したがって、証明された。


(証明終)


 


 


この定理から、関数の極限を数列の極限を用いて定義してよいことになる。


同様に、数列の極限を用いて、関数の連続は次のように定義される。


 


関数f(x)は区間Iで定義された関数、a∈Iとする。aに収束するすべての数列に対してであるとき、関数f(x)x=aで連続であるという。


 


 


最後に、これまで証明しなかった次の定理を証明する。


 


定理


関数f(x)が有界閉区間[a,b]で連続ならば、関数f(x)[a,b]で最大値、最小値をもつ。


【証明 】


f[a, b]で上に有界でないとすると、


  


が成り立つ。


n = 1, 2, 3, ・・・と変化させると、という有界な数列が得られる。


は有界な数列なので、ボルツァノ・ワイエルシュトラスの定理より収束する部分列が存在する。そして、その極限をcとすると、となる。


関数f(x) は連続なので、


  


となるけれど、


  


よって、f(c) = +∞となり、有限な値を持たない。


c∈[a,b]f(c) [a,b]で定義される関数の点である以上、有限の値を持たなければならない。


これは矛盾である。


よって、f(x)は上に有界である。


 


f(x) [a, b] で上に有界なのだから、上限が存在する(実数の連続性)。その上限をMとする。


そして、f(x) [a,b]で最大値を持たないと仮定すると、f(x) < M となり、M – f(x) ≠ 0となる。


だから、


  


という関数g[a, b] で連続となる。


また、仮定より、Mf(x) の上限なのだから、任意の正の数εに対して


  


となる x ∈ [a,b] が存在する。


εは任意の正の数なので、


  


とすると、


  


となる。ここで、n は自然数。


nは自然数なのだから、いくらでも大きくでき、g(x) には上限がないことになる。


g(x) は有界な閉区間[a,b]で定義された連続関数だから上限があるはずなのに、上限がない。


これは矛盾。


何故、矛盾したかというと、f(x) [a,b] で最大値をもたないと仮定したから。 よって、f(x) は最大値をもつ。


 


下に有界をもつこと、最小値をもつことも同様。


(証明終)