第15回 合成関数の偏微分の公式2
定理A
関数f(x,y)が領域Dで全微分可能であり、関数φ(t)、ψ(t)が区間Iで微分可能かつφ(t),ψ(t)∈Iであれば、合成関数F(t)=f(φ(t),ψ(t))は区間Iで微分可能で
が成り立つ。
z=f(x,y)、x=φ(t)、y=ψ(t)とすると、
プリミティブな考え方をするならば、z=f(x,y)は全微分可能なのだから、
となり、これをdtで割ると
になる。
物理なんかだとこれでいいんだろうけれど、駄目かこれで(^^ゞ
このキチンとした証明はそのうちにすることして、先に進もう!!
定理B
z=f(x,y)が全微分可能なとき、x=x(u,v)およびy=y(u,v)がu,vの微分可能な関数な関数ならば、合成関数f(x(u,v),y(u,v))はu,vの微分可能な関数であって、
になる。
証明というほどのものではないけれど、uで偏微分するときはvは定数と考えて良いので、定理Aより
になるだろう。だけれども、これは偏微分なので
になるというわけ―――dを、さり気なく、∂にすり替える(^^ゞ―――。
同様に、
まっ、そういうこと(^^ゞ
では、問題を。
問題1 次の関数の
解
問題2 z=f(x,y)、x=rcosθ、y=rsinθのとき、次のことが成り立つことを証明せよ。
解
(1)
(2)は、計算が面倒なのでパス!!
問題3 z=f(x,y)、y=y(x)のとき、
解
この結果はちょっと不思議だろ(^^)
でも、微分と偏微分の違いがハッキリと現れてくる公式(?)だと思う。
これは、流体力学に出てくる微分なんだケロ。流体力学では
という形で出てきて、流体の運動方程式の加速度を表すんだ。一次元の流体の運動方程式を書くと
になるにゃ。
ρは流体の密度、μは粘度、uは流速、pは圧力を表す。
(1次元の)ナビエ・ストークス方程式と呼ばれるもの。
ねこ騙し数学で今回やった公式を使うことはないから、こんな公式があるんだということを頭の片隅にとどめておいてもらえば十分だケロ。
「今回は、手を抜き過ぎではないか」という批判を交わす目的で、内容を付け足したにゃ。
補足
とするケロ。
この関数のtの微分は、定理Aの公式を使うと、
になる。
でも、こんな公式を使わなくても、
になるので、
と簡単に計算することができる。